ちょっと不思議な話

投稿者 : Black Velvet

令和3年(2021)6月26日。
妻と亀岡にある廣峰神社(広峯神社)へ参拝した時にあったちょっと不思議な出来事。

ネットで廣峯神社の苔むした境内の佇まいを見て惹かれたらしい。
妻が廣峰神社に行きたいと言うので、亀岡までならそう遠くも無いと休日に車を走らせて廣峰神社へ参拝することにした。

説明板によると、ここは出雲系の部族が由良川筋より本梅川を逆上り当地に住み始めた人達によって祀られたことに始まると言われ、その起源は大和時代初期まで遡ると考えられている。
社殿の右100メートルの所には「元宮」と称される磐座(いわくら)(注.1)が残されている。
社伝では承和年間(834~848)の勧請とあり、京都八坂神社と同格の神社で創建は廣峰神社の方が古いとされている。
鳥居を潜ると苔むした参道は一面の緑の絨毯のようで、歩くことが躊躇われてしまう。
現在の社殿は宝永年間(1709~1711)に造営されたものという。
参道に祀られている小祠から本殿(拝殿)、境内の小社、小堂と一通り参拝を済ませる。

拝殿の右手に雑木林の中に続く道を見付ける。よく見ると道の奥にはいくつもの苔むした大きな岩が点在している。
「もしかして磐座ではないだろうか…」
虫の苦手な妻はここ(拝殿前)で待っていると言ったので私一人で雑木林の中に入って行く。
(説明板に「社殿の右百米の処に元宮と称する岩坐がある」と書かれているのを読んでいたにも関わらず忘れていた…)
大きな岩がゴロゴロと点在するその奥に古墳の石室の様な大きな石組が現れる。中には小祠が祀られていた。
ここが廣峯神社の「元宮」(磐座)である。
まずは磐座の前にしゃがみ込み二礼二拍手一礼。
その後、写真を撮らせて頂いていると、拝殿の前の雑木林の入口の所に一人の女性の姿が見えた。
年の頃なら20代後半から30代前半くらいだろうか、手ぶらだったので地元の方がお参りに来られたのかなと思った。
とはいえ、同時に、こんな所(と言えば失礼だが、雑木林の中に在る磐座)までお参りに来られるとは敬虔な方だなとも思っていた。
史跡巡り、神社仏閣巡りが世間に広く認知されているとはいえ、雑木林の中で一人黙々と磐座の写真を撮っている自身の姿を想像すると何か怪しい人の様に思えてしまう。女性がこっちに来られたので、(不審者と間違われない様に)努めて爽やかに「こんにちは」と挨拶をすると、その女性も「こんにちは」と笑顔で返してくださった。
その女性の参拝のお邪魔をしてはいけないと、入れ替わる様に磐座を後にして妻の待つ拝殿の方に向かう。

今にして思えば個人的な価値観の押し付けになるのだが、折角ここまで来たのだから元宮にも参拝してはどうかと妻を促す。
元宮(磐座)へと続く道の入口で話をしていたので、先ほどの女性が戻ってこられたら直ぐに分かるはずである。
先ほどの女性が戻られて来ていないので、お邪魔をしてもいけないと思いつつも、様子を伺いながら妻と二人で元宮の方に向かう。
(この時点での話だが)奥の奥まで進んで行ったわけではないので明言は出来ないが、元宮より先は道らしい道は無い感じだった。
「あれ? あの人どこに行ったんだろう???」
と妻と話していると、雑木林の奥の方から「ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ」というスコップで地面を掘る様な音が数回して止まった。

元宮に参拝した後、余計なことと理解しつつも気になったので、妻を先に戻らせ一人音のしていた方に進んで行く。
少しばかりウロウロとしてみたが雑木林の向こうには民家が見えるが道らしい道は続いていない。
白昼にあれだけはっきりと見え、しかも挨拶も交わした女性が幽霊な訳があるはずもない。しかも、見ず知らずの女性の後をつけている様で我ながら気持ちが悪いことをしているものだと思い、妻の待つ拝殿の方に戻る。
念のため妻に女性が戻ってこられたかを聞いたが見ていないという。

あの女性は一体どこに行かれたのだろう。
何でもかんでも心霊と結び付ける気は無いし、もちろんあの女性が幽霊な訳も無いけれど、ちょっと不思議な出来事だった。
たぶん、私が知らないだけで何処かに道があったのだろう。






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