お墓に消えた老人

投稿者 : Black Velvet

昭和58年(1983)頃の事だったと思う。
当時学生だった私は、友人Mと遊びに出かけた帰り、昼間ということもあり近道をするために舞子墓園の中を通ることにした。
墓園の中を通る車道をMと話しながら歩いていると、2m程前を白いジャージを着てジョギングしているおじいさんがいた。
年の頃なら70代後半から80代といったところだろうか。私とMは特に気にする事もなく歩いていると、突然そのおじいさんは道に面した一基のお墓の脇に入っていった。

「? ? ?」

Mと私は二人で顔を見合わせた。
ジョギングにしては奇妙なコースを走るものだと思い、好奇心からすぐ後をついて行ってみた。
車道に背を向けるように立っているそのお墓には、周囲を一周するように細い道がついていた。その細い道はお墓を囲むようにして「コ」の字型になって車道へ戻っている。
お墓の周囲を一周して車道に出てみると先ほどのおじいさんはいない。

車道は見通しの良い直線で、特に脇道も無い。まさか視界に入らない程の速さでおじいさんが駆け抜けていったとも到底考えられない。
Mと私が見たおじいさんはお墓の中に消えていったのだろうか…






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