栗拾い
ご投稿 : DARK RUBY 様


何かと噂の多い兵庫県某所のダム湖での話。
今(2010年)から10年以上さかのぼった10月のある夜。ダム近くの山中に、友人Tと友人J(女性)を誘って栗拾いに出かけた時のこと。
自生している栗林を目指してダムの見える断崖を登り、真っ暗な山中に分け入ると、おりからの雨がひとしきり強く降り注ぎはじめました。
栗林の中は密生した広葉樹のおかげでそれほど雨をかぶらずにすみました。
ポトポトポト・・・葉に溜まったしずくが落葉に当たる音が辺りに響き、ときおり「ボトッ」と栗の実が落る音がして私達を驚かせます。
何枚も重ねたコンビニの袋がいくつも満杯になった頃、ふとTがいないことに気づいた私は、林の向こうにいるJを呼びました。
しかし、雨の降り注ぐ林の中は声が遠くまで通りません。
Jは暗がりで誰かと話しているようなので、その先にTがいるようです。

そして、私は妙な雰囲気に気づきました。
「ん? 林の向こうにJがいて、Tがその先にいるとしたら、さっきから(私の)後ろにいるのはだれ?」
素早く振り返った私の懐中電灯の光に浮かび上がったのは、暗闇でしゃがみ込んで何かをしているTの姿でした。
恐る恐る
「なにしてるん?」
との問いかけに
「いや、電池が終了したみたいで見えへん」
と手探りで懐中電灯を分解中のT。

じゃ、Jは誰と話してるねん・・・?

ここで余計なひとことがパニックを引き起こすであろう事は明らかです。
Tにはなにも言わず、Jの方に近づくと成果を尋ねました。
不意に近くから現れた私に驚いた様子の彼女は言いました。
「もー、どんどん山の奥に入っていくから。さっきから待ってって言ってるのにぃ」と
懐中電灯を持っていないJは、いつから前を歩く”そいつ”と栗拾いしてたのでしょうか。
自分の婆さんと庭の石灯籠を間違えて数十分も話し込むJの事、いつも通りといえばいつも通りなのですが・・・

林をあとにする私の背中は、楽しそうに成果を話すJやTとちがい、ひとり冷や汗でびっしょりと濡れていました。
なぜなら、Jの言うとおり、(私も)彼女の先を照らす明かりを見たような気がしたのです。
さっきは・・・

実際は、地面ばかり見ていた私の思い違いかなぁと思っているのですが、Jに話を聞いた限り、“私”とTの区別はついていたそうです。 特に、Tの懐中電灯が家庭用の大きなのに比べて、私の懐中電灯は一般的な家庭用の物ではないので、明らかに光の色が違っていたと言っています。
また、Tは私とは背格好も体格も全然違うので見間違える事も無いと思われます。






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