名古山霊苑

投稿者 : Black Velvet

昭和59年(1984)頃の事だったと思う。
友人Mと兵庫県姫路市にある名古山霊苑という大きな公園型霊苑を訪れたことがあった。
広い霊苑の中には仏舎利塔と2基の宝塔が建っていた。
今にも雨が降り出しそうな曇り空の下、私とMは陸軍墓地の傍らにある遺族会館の屋上へと続く階段を上がっていた。
すると、上の方から老夫婦と思われる話し声が聞こえる。
何を話しているのかまでは分からなかったが、散歩にでも来られているのだろうと思い「先客さんがいるのかな」などとMと話しながら、たいして気にもせず屋上へと上っていった。
しかし、屋上に着いてみると老夫婦どころか猫の子一匹居ない。
そんなに広くも無い屋上、階段は一つしかなく誰かとすれ違えば必ず分かるはずである。どこからか風に乗って聞こえてきたのだろうかと、屋上から辺りを見回しても誰もいない。
しかし、確かに私にもMにもその声ははっきりと聞こえたのである。






本ページはフレーム構成となっております。
左端にメニューが表示されていない場合はこちらからどうぞ。