人形

投稿者 : Black Velvet


私が学生だった頃の話である。
私の通う学校は町外れにあったため、通学路は寂しい山の中の一本道だった。
通学路に沿うようにして墓地があり、通学路の途中には私の在学中だけでもホームレスの人が行き倒れになっていたり、数件の自殺があったりで幽霊の目撃談には事欠かないといういわく付きの場所だった。(その話はまた何れ書こうと思っている。)

いつものように友人数名と帰っていた時のこと、いつもなら絶対に立ち寄るはずの無い墓地に何故か私たちは入っていった。
肝試しのつもりだったのか、今でも何故墓地に入っていったのかはっきりとした理由は覚えていない。

友人の一人が隠れてタバコを吸うために墓地の中へと入っていった。仕方なくタバコを吸わない私達もそれに付き合うように墓地の中へと入っていった。 (※ 未成年者(20歳未満)の喫煙は、法律によって禁止されています。)
通学路から一段掘り下げられた奥まった所、木が覆い被さるように繁っている。
何気なく通学路の方に目をやった私が見たものは…
一段高くなったコンクリートで固められた法面の上に、こちらを見据えるようにちょこんと座った人形だった。
「何故こんなところに人形が? 誰かがお供えした? それともイタズラ?」
人形の存在をそこにいた友人達に伝える。
僅かな沈黙の後、逃げるように駆け出す私たち。

その後あの人形がどうなったのか、今もそこに座って墓地を見守っているのか…
その後、人形を確認したものは居ない。






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