投稿者 : Black Velvet
平成28年(2016)7月27日、夜の10時少し前だったと思う。
仕事を終えた私は、会社の出入口の前で同僚が出て来るのを待ちながら、同じようにこれから帰宅する同僚の女性(以下Aさん)と立ち話をしていた。
会社の前は幹線道路になっていて夜でもトラックなどが休むことなく走っている。その車道に沿って幅1.5mほどの歩道がある。
その歩道でAさんと話をしていた時、私のすぐ横を誰かが足早に通り過ぎたような気がしたがその時は特に気にもしなかった。
そのすぐ後で一緒に話をしていたAさんが少し驚いたような顔でおずおずと私に
「今、そこに男の人いた(のに気付いていた)?…」
と尋ねてきた。
そう訊かれて思い起こせば、確かに誰かが横切ったようなような気配はあったが考えてみれば不思議なことがある。歩道は見通しの良い一本道、更にそれほど道幅もない。誰かが向こうから来てすれ違えば当然何らかの姿は視界に入るはずだが、まったく人らしいものは見えていなかった。
そこでAさんが恐る恐る私にこんな話をしてくれた。
Aさんによると、私の左肩のすぐ後ろに男性の顔があったというのだ。それも、寄り添うように私の顔のすぐそばに男性の顔があったという。
しかし、すぐにその顔は見えなくなり周囲を見回したが人らしいものは見当たらなかった。怖くなったAさんがそこで私に
「今、そこに男の人いた?…」
と尋ねたのだという。
私がAさんにどんな感じの人(顔)だったと訊いてみたのだが一瞬のことだったので50代くらいの男性だったということぐらいしか覚えていないらしい。
とにかく顔だけがそこにある感じで、服装どころかもしかしたら体はなかったかも知れないと言っていた。
それはまるで、『ほんとにあった!呪いのビデオ』にでも出て来るような感じで、私の左肩の後ろから男性の顔が覗きこんでいるのがはっきりと見えたといい、とても錯覚とかでは無かったという。
Aさんの怖がっている様子からもとても彼女が嘘を言っているようには見えなかったし、
「こんなことを言えばおかしい人と思われるかも知れないから言い難かったけど、びっくりしたから…」
と言っていたことから、そこに顔があったことは本当だと思う。
この界隈は普段から静かな場所で、私の知る限りこの辺りで事故や事件があったという話は聞ていないが会社の前の幹線道は交通量も多く、歩行者が車道を横断している姿をよく見かけるのでもしかしたらなにかあったのかもしれない。