お彼岸の来客

体験者 : Black Velvetの母

平成22年(2010)の春のお彼岸(3月22日))、祖母の法事で私の家に親戚が集まった時の事だった。
仕事の都合などでなかなか親戚一同が集まることも儘ならないが、叔母が三人、従妹二人とその子供が三人来てくれた。

親戚が到着し、応接間へとお通ししている時のこと。
出迎えた母の横を一人の男性が挨拶もせずにすっと通って応接間へと入って行った。
年の頃なら30代、顔は白っぽく、どちらかと言うと失礼ながらお世辞にも男前とは言えない感じの顔立ち、チェック柄の服にジーンズという出で立ちだったというところまではっきりと母は憶えていたという。
(ほとんどの親戚が遠方より車で着たので、到着時はみな平服だったため違和感はなかった。)
その時母は、
「こんな感じの人だったかな…」
と思いつつも私の従妹の旦那さんと思っていたらしい。
そして、件の男性は応接間のTVの横の方にあるソファーに腰掛けたという事まで母は憶えていた。
不思議と思われるかもしれないが、最初に会った時から母は何故かその男性が不思議と気になっていた様だ。

お茶を淹れ、お茶菓子を持って母が応接間に行くとその男性の姿がない。
トイレか着替えにでも行ったのかと思っていたが、気になってみんなに尋ねると、誰に聞いてもそんな男性は一緒に来ていないし、見てもいないという。

最初は何か気味の悪さが先に立ったが、後になって思うと生前祖母にゆかりの人が訪ねて来てくれたのかも知れないねと母は言った。






本ページはフレーム構成となっております。
左端にメニューが表示されていない場合はこちらからどうぞ。