ペタペタ

投稿者 : Black Velvet


何時の事だっただろうか。
二十年以上前になるだろうか、確かまだ昭和と言われていた頃の事だった。

いつものように眠っていると、誰かが私の顔をペタペタと手で触ってくる…
それも一人や二人ではない、大勢の手が眠っている私の顔をペタペタと手で触れてくるのである。
それは撫でるわけでなく、叩くわけでなく、ただ手のひらでペタペタと顔じゅうを軽く押えてくるだけだった。
金縛りというやつだろうか、眼を開けようとしても眼は開かない、体の自由も利かない。そんな状況下にあっても意識だけは妙にはっきりとしていた。
それなのに、不思議な事に特別に恐怖と言うほど恐怖は感じていなかった。何故だかは解らない、ただむしろ鬱陶しいという気持ちの方が大きかった事を今も覚えている。
無抵抗のままどれほどの時間が過ぎたのだろうか、何時の間にか眠っていたらしく気がつけば朝を迎えていた。






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