ロープ

投稿者 : Black Velvet


心霊とは少し趣を異にするが、不思議な体験をしたのでここに書いておこうと思う。

令和2年(2020)3月22日、三連休を利用して鳥取、島根に行った帰りの事。
来る途中に車窓から見えていた「おにっ子ランド」(鳥取県西伯郡伯耆町)と山の上に立つ巨大な鬼の像(平成8年(1996)年3月建立、高さ18メートル、幅15メートル、奥行11メートル)が気になり、とうに閉園時間を過ぎているであろうことは分かっていたのだが、取り敢えず行ける所まで行ってみようと思い車で入口まで行ってみた。

鳥取県西伯郡伯耆町は日本最古の鬼伝説が残る土地で、177年(成務天皇47年)から191年頃、当地の鬼住山に拠った「大牛蟹」(おおうしがに)という鬼と孝霊天皇が戦ったという話が伝わっている。十数年の戦いを経て、大牛蟹は天皇軍により制圧されその軍門に下り、北の守りを任されたという。
(酒呑童子、茨木童子伝説の残る京都府福知山市大江町、温羅(うら)伝説(桃太郎の鬼退治伝説の基となったといわれる)の残る岡山県総社市黒尾、そしてここ大牛蟹伝説の残る鳥取県伯耆町溝口で日本三大鬼伝説の地というらしい。)

冬季(12月~3月)は休園期間ということらしく、入口にその旨が書かれたバリケードが置かれていた。
そこから少し山の方に向かうと、「鬼ミュージアム」(2007年 閉館)の上に巨大な鬼の像(高さ18メートル、幅15メートル、奥行11メートル)が立つ丘の上に着く。
薄暗い中見上げる鬼の姿はなかなか迫力がある。
時刻は23時前。しばらく鬼の像を見上げた後、家路を急ぐ。

少しばかり走ると、道路の横には雑木林が続いている。視界には対向車も後続車も無く、走っているのは私の車だけ。
街灯が在ったのか無かったのか、今となってははっきりとは覚えていないが、何か気味の悪い場所だなと思いつつ車を走らせていた。
「その辺りに首吊り死体がぶら下がっていても不思議じゃない感じ…」と助手席の妻に冗談交じりに話す。
(冗談っぽくは言ったが、実際には本当に首吊り死体でもあるんじゃないかと思うほど気味の悪い感じがしていた。)

それから1~2分ほど後の事。突然、道路のセンターラインの上に何かが落ちているのが目に入った。
ライトの光に浮かびがったのは無造作に打ち捨てられたロープだった。

引っ越しのトラックか何かが落としていったものだろうか。単なる偶然なんだろうが、あまりにも気持ちの悪い体験だった。
もしかすると、鬼の悪戯だったのかも知れない。






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