屋根のシミ
-某射撃場 脳挫滅事件-
(「射撃場の屋根のシミ」 改題)


ご投稿 : DARK RUBY 様

2010-08-27


時間が経っている為一部不明瞭な部分があります。
事件の顛末はほぼ間違っていませんがご了承下さい。

某射撃場 脳挫滅事件

ある会社社長所有の某射撃場は、今から数十年前は兵庫県のある町に住む医者の所有だったそうで、スキート(クレー射撃の種類)射座一面、ライフル射座、エアライフル射座を有する小さな射撃場です。
公安委員会の規定は満たしていても、日本クレー射撃協会、日本ライフル射撃協会規定の寸法を満たしておらず、それぞれの規定の試合は行われていません。
射撃場の所有者である医師が、暴力団と金銭的ないざこざから危うく港に沈められそうになっていた直前、知り合いだった前述の会社社長が(この射撃場を)買いとったそうです。

その会社社長も、放蕩生活が祟って死んだ今から10年ほど前(2000年頃?)の正月明け早々の寒い日のことです。
日も傾き始め、社長(=射撃場の所有者)の近親者で友人のY氏と、その母親がクラブハウスで後片付けをしている時でした。
クラブハウス横の階段を上って行くスキート射座(クレー射座)は早々に客が引き上げ、今はライフル射場でスラッグ射撃(散弾銃の単体弾射撃)をしているHさん(仮名)だけとなっていました。
小さな山の斜面に作られた射撃場は、冬ともなると水分を含んだ地面と傾いた日で、凍てつくような薄暗さに包まれていたそうです。

ドーン・・・

聞くとはなしに発砲音を聞いていて、何だか違和感を感じたY氏。
通常だと、装填、発砲を交互に繰り返すので、数秒から数分ごとに発砲音が聞こえてくるのですが、この時は一発聞こえたのみでした。
Hさんは当時風邪気味だったそうで、その日はボンヤリしていたそうです。
それでもY氏は数十分、母親と後片付けを続けていたそうですが、どうも様子がおかしいと思いクラブハウス裏のライフル射場を見に行ったそうです。

日もいっそう傾き、薄暗がりになり始めた1番射座が何だか水っぽく、Hさんらしき何かが仰向けに寝ころ んでいるように見えたそうです。
よく見ると、射座から何メートルも後ろに仰向けに倒れてたHさんの顎の上部はなく、下顎の歯並びが見えていたそうで、その瞬間、Y氏はすごすごとクラブハウスに引き上げ、警察の生活安全課の顔見知りに電話したそうです。

Y氏 「○○射撃場(管理人修正)のYです。お客さんが死んでます!」
担当「え、いまなんて?」
Y氏 「お客さんが、頭吹き飛ばして死んでます!」
担当「うそやろ? うそやんな? な?」
Y氏 「いえ、死んでます。はよ来て下さい!」
担当「うそやん! うそって言うて!」

同時にY氏から電話を受けた馴染みの銃砲店のTさんとSさんが、連絡を受けて急行して来た近所の警察官と同時に到着したそうです。
正月早々、高熱を出してフラフラの状態で到着した銃砲店のTさんに、Sさんが落ちていた肉片を「これ、Hさんのほっぺたやなぁ」と差し出すと、Tさんは嘔吐したそうです。
辺り一面に飛散したHさんの肉片を警察官は事務的に「乾く前に水で良く流して下さいね“とれなくなりますから”」と言ったそうです。
ようやく到着した生活安全課の担当は、出動服姿でひとこと「もう勤務明けやったのにぃ」と何度も繰り返し、泣きそうだったそうです。

死因は脳挫滅。

そんなことも知らず、事件後に許可を取った私のお気に入りの射座は1番射座でした。
ある時、バッフル(上向きに暴発しても遠くに飛んでいかないようにある屋根)にたくさん飛び散った染みの事をたずねたら、Y氏がそんなことを教えてくれました。
その日からお気に入りは2番射座になったのは言うまでもありません。
当時、時々隣の射座(1番射座)に誰かいるような気がしたのもそんな話を聞いていたからかも知れません。

現在、Y氏は経営から離れ、私もその射撃場は利用していません。
A市とH市(管理人修正)にあった射撃場も今年(2010年)相次いで廃業となり、この町の射撃場はここしかありません。
入り口にキ○ガイじみて大きく、立ち入り禁止と看板があります。

日本の全射撃場で事故死はここだけです(他は自殺、暴発を被弾程度)
この事故は、つい最近まで教本の事故の実例として掲載されていました。
(まだ、掲載されているかも知れません)






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