終わらない宴
ご投稿 : DARK RUBY 様


数年前から家を建てようと、この不景気にもかかわらず家を探していました。
そんなある時期のお話しです。

人通りも少なく、一年の三分の一が霧や雨に包まれるOという町を気に入った私は、少ない情報を頼りに物件探しをしていたある日、思い切って賃貸物件に住むことにしました。
毎日手の空いた時間を利用して町内の散策しようと、手頃な物件をこの町に見つけた私は初夏のある日に引っ越しました。

犬を連れて濃霧の中、深夜の散歩を殆ど毎日一年を通して過ごしました。

(中略)

話は、この町で私が借りていた賃貸物件での話です。
神戸市内でも有数の大きな街で、大きな駐車場を経営しているという女性所有の一軒家。
この辺りではごくフツーといっていい規模のRC2階建ての建物の南側には70平米ほどの庭に、大きな松の木が一本生えています。
独りで住むには広すぎるその建物の一階を事務所にしていました。
初めて不動産屋と訪れた時に、二階の大きな和室になにか違和感を感じたんですけど、押し入れを開けて内部が綺麗だったのでまあいいかと、そこを寝室にしました。

そんな、ある日。
標高が500mを超えるこの町は、市街地に比べて気温が5〜10度低く、エアコンを使うのが8月頃だったでしょうか。
引越に際して設置した新品のエアコンの電源を入れるとなにやら賑やかな感じです。四方を山に囲まれた閑静な住宅地では、普段聞き慣れたエアコンの音がこんなにもうるさく感じるのだなぁ、そう思っていました。

そのまま数日が過ぎたある日、何気なく聞き耳を立てて寝ていると何だか人の声が聞こえるような気がしてきました。
とはいっても、恐い感じや怨念めいたものではありません。例えていうなら”隣が食堂や事務所で複数の人がフツーに話している感じ”、ザワザワした感じです。
もちろん、エアコンの内部を気泡が走るようなチュルチュル、キュルキュルと言うような故障の音でもありません。両隣も数10メート離れている上に、老人や静かな夫婦で、ベランダから覗いても何も聞こえません。
同時に他の部屋に取り付けた同じ型のエアコンからはそんな音は聞こえてきませんでした。非常に静かです。

まあ、危険を感じないので放置していると、泊まりに来た彼女がひとこと。
「今日は、女の声がウルサいね」っと私が思っているのと同じ事を言うのです。
ある日は、男と女が何かフツーに話し込んでいるような感じです。

恐いのか恐くないのか、私の取った行動は、何もしないです。
独りでいても「お、借りてくれてありがとう」って感じでしょうか。
誰もいないのにインターホンがなったり、廊下を誰かが歩いているのか犬が急に吠えたりするのですけれども、犬が怯えたり怒ったりする様子がないので放置しました。

一年ほどして、土地を見つけたので出て行くことになり、大家さんに鍵を返す為に会った時、ここはどんな家だったのか聞いてみました。

「あぁ、ここはね、(大家さんの)旦那が女や友達を連れ込んで夜通しわいわい騒いだり、女とセックスしたりするサマーハウスだったんよねぇ。ほんと、腹立つわ」

私が体験したことを話すと、
「そうそう、そうやってわいわいガヤガヤ騒いでたなぁ。御祓いしたほうがいいやろか?」
ですって。
どうりで寒い間は何も感じなかったはずです。不思議な体験でした。






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