墓地の下を通るトンネル 他
トンネルの歴史は古く、古代、灌漑用水路としてのトンネル造りに始まり、紀元前2000年頃、ユーフラテス川の河底を横断する歩行者用のトンネルがバビロンに造られたのが最初とされている。
交通の利便性を図るうえでトンネルは欠かせない存在であり、山間部等の交通の難所と言われた場所にトンネルを通すことにより人や車などの交通、物流の確保、向上が図られることとなった。
しかし、地質や用地買収など、限られた土地、限られた条件でトンネルを通すには色々とクリアしなければいけない課題もある。
そうなると、有名な「千駄ヶ谷トンネル」の様に墓地を移転(改葬)させたり、墓地のある山(あるいは丘陵)等の下を通過(貫通)させなくてはいけない事例も出てくる。
日本には墓地や火葬場、あるいは処刑場跡の下を通過(貫通)するトンネルがいくつかある。
日本各地にあるそれら墓地や火葬場、処刑場跡の下を通過する(或いはそれに類する)トンネルをいくつか紹介して行こうと思う。
立地条件がその様な雰囲気にさせるのか、これら墓地(火葬場、処刑場跡)の下を通るトンネルが必ず心霊スポットという訳ではないが、往々にして幽霊が出る、怪奇現象が起こるという話が多いように思える。
(50音順、適宜追加の可能性あり)
・ 芦別隧道 【北海道芦別市本町】
三井芦別鉄道(平成元年(1989)3月26日 廃止)唯一のトンネル。
芦別市営桜ケ丘霊園の下を通過している。
心霊現象の噂などは無い。
延長:69.0m
・ 浅虫トンネル 【青森県青森市大字久栗坂】
(随時更新予定)
・ 本吉斎場横のトンネル 【宮城県気仙沼市本吉町】
(随時更新予定)
・ 長手トンネル 【山形県米沢市大字長手】
北側坑門の両側に墓地があり、かつて慰霊祭を行っていた場所(小堂か小祠があった)を造成してトンネルを通したという。
その為なのか交通事故が多発している。また、身元不明の遺体が発見されたという話もある。
延長:254m、幅員:12.0m、高4.7m、竣工:平成24年(2012)
・ 城下(しろおり)トンネル 【群馬県桐生市黒保根】
(随時更新予定)
・ 小坂坂トンネル (通称 下仁田トンネル) 【群馬県甘楽郡下仁田町】
(随時更新予定)
・ 東北新幹線第2上野トンネル 【東京都台東区谷中七丁目(谷中霊園)】
谷中霊園(谷中墓地)の下を通過する延長470mのシールドトンネル。
延長:470.0m
・ 千駄ヶ谷トンネル 【東京都渋谷区千駄ヶ谷2丁目・同区神宮前2丁目】
紀州徳川家の菩提寺として知られる法雲山仙寿院東漸寺の墓地の下を通る。
昭和39年(1964)に開催された東京オリンピックにあわせて東京都市計画道路補助線街路第24号線の整備が行なわれ、この経路上に仙寿院の墓所が存在したため、墓地の移転を行ずにトンネル構造による通過をすることになった。建設にあたって墓地は一旦開削され、トンネル設置後に改葬されている。
血塗れの女性が追い掛けてくる、天井から逆さまになった女性が現れ車の上に落ちてくるなどといった話がある。
延長:65.0m、幅員:22.0m、竣工:昭和39年(1964)
・ 小坪トンネル 【神奈川県鎌倉市・同 逗子市小坪】
逗子市側から、小坪隧道とそれに並走する新小坪隧道、逗子隧道とそれに並走する新逗子隧道、逗子市と鎌倉市の市境を跨ぐ名越隧道とそれに並走する新名越隧道の計6つのトンネルの総称として「小坪トンネル」あるいは「名越トンネル」と呼ばれる。
とりわけ小坪隧道、名越隧道での怪奇現象が多いという。
トンネルの上は鎌倉時代の風葬地であったという。
周辺の山上には国指定史跡「まんだら堂やぐら群」という鎌倉時代中期以降から室町時代前半の横穴式の納骨窟(または供養堂)が存在し、150基ほど確認されている。
現在、トンネルの上の山には民間の小坪火葬場がある。厳密には、トンネルの真上ではなく、逗子隧道、新逗子隧道、と名越隧道、新名越隧道の中間の北東100メートルほどの場所にある。
落武者、騎馬武者、女性の幽霊などが現れるという。
川端康成の小説「無言」にも幽霊トンネルとして登場する。
・ 小坪隧道
延長:113.0m、幅員:5.5m、限界高:3.9m、竣工:明治16年(1883)
備考:土木学会選奨土木遺産・近代土木遺産Bランク
・ 逗子隧道
延長:110.0m、幅員:6.5m、竣工:昭和41年(1966)
・ 名越隧道
延長:64.0m、幅員:5.5m、限界高:3.9m、竣工:明治16年(1883)
備考:土木学会選奨土木遺産・近代土木遺産Bランク
・ 新名越隧道
延長:80.0m、幅員:5.89m、竣工:昭和46年(1971)
・ 角石原(かどいしはら)隧道 【新潟県新発田市中々山】
(随時更新予定)
・ 愛宕トンネル 【山梨県甲府市愛宕町・同 甲府市東光寺町】 New
愛宕山自体が心霊スポットという話もある。
墓地の下を通るトンネルと言われるが、実際は愛宕町側の坑門の両側が一面の墓地となっている。
トンネルの上から女性が飛び降り自殺をするという事があり、以来女性の幽霊が現れるという。
愛宕町側の坑門の上には道路を見下ろす様に観音像が祀られており、これは自殺した女性の慰霊のために建立されたという。
・ 麻生田墓下(おおだはかした)トンネル 【三重県いなべ市北勢町麻生田】
(随時更新予定)
・ 五条坂の歩行者トンネル (調査中) 【京都府京都市東山区五条橋東】
(随時更新予定)
・ 厨子奥トンネル 【京都府京都市山科区御陵荒巻町】
(随時更新予定)
・ 藍那トンネル (県道52号線) 【兵庫県神戸市北区藍那】
(随時更新予定)
・ 坂越(さこし)トンネル 【兵庫県赤穂市坂越】
(随時更新予定)
・ 鉄拐山(てっかいさん)隧道 【兵庫県神戸市垂水区下畑町】
(随時更新予定)
・ 一庫ダムのトンネル 【兵庫県川西市】
(随時更新予定)
・ 再度(ふたたび)隧道 【兵庫県神戸市中央区神戸港地方3】
(随時更新予定)
・ 村岡トンネル 【兵庫県美方郡香美町】
(随時更新予定)
・ 名古山トンネル 【兵庫県姫路市名古山町】
(随時更新予定)
・ 卒塔婆隧道 (旧 卒塔婆トンネル) 【和歌山県西牟婁郡上富田町・同 西牟婁郡白浜町】 New
卒塔婆トンネルという名前はトンネルの傍を通る卒塔婆峠に由来する。
かつてこの峠周辺で風葬が行なわれていたのでこの名前(卒塔婆峠)が付いたというが詳しい事は分からない。
トンネル内で(車の)エンジンを切ると二度とかからなくなってしまうという。
参考までに書くと、卒塔婆峠という名の峠は日本各地に存在する。
・卒塔婆峠 福島県相馬市東玉野 - 同 相馬郡飯館村
・卒塔婆峠 岐阜県大野郡白川村飯島 - 同 大野郡白川村馬狩 (卒都婆峠、卒堵婆峠、外羽峠とも表記)
・ソトバ峠 京都府京都市右京区京北小塩町馬場谷 - 同 京都市右京区京北の廃村八丁(京都府道370号佐々里井戸線) (卒塔婆峠とも表記)
京都府に在るソトバ峠の名も、この辺りで風葬が行なわれていたためとも、寺院(廃寺)があったためともいう。
延長:88.2m 幅員:3.64m 高さ:3.3m 竣工:昭和5年(1930)9月30日
・ 円護寺トンネル 【鳥取県鳥取市円護寺・同 湯所町】
(随時更新予定)
・ 美甘(みかも)トンネル (首切トンネル) 【岡山県真庭市美甘】
(随時更新予定)
・ 犬鳴隧道 (旧 犬鳴トンネル) 【福岡県宮若市・同 糟屋郡久山町】
(随時更新予定)
・ 旧 佐敷隧道 (旧 佐敷トンネル) 【熊本県葦北郡芦北町大字海浦字峠下・同町大字白岩字日添】
(随時更新予定)
・ 長野隧道 (長野トンネル) 【熊本県水俣市古城】
(随時更新予定)
・ 石川トンネル 【沖縄県うるま市石川伊波】
公儀ノロ(こうぎのろ)、歴代の伊波(いは)ヌールの墓の真下を石川トンネルが通過している。
「ノロ」とは琉球神道における女性の祭司を表す言葉で「ヌール」とも言われる。
伊波ヌールは首里王府より任命された公儀ノロで、伊波、 嘉手苅(かでかる)、山城、石川の各集落の年中祭祀を司っていた。
墓のある山の地質は千枚岩とその上部に堆積した琉球石灰岩であり、通常はトンネルを通すには適さない地質条件であったが、墓を保護するためにバイパスをトンネルとして通すよう計画された。
心霊現象の噂などは無い。
延長:上り165.0m 下り165.0m、幅員:上り10.8m、下り10.8m、有効高:4.0m、着工:平成4年(1992)、竣工:平成6年(1994)
・ 伊祖トンネル 【沖縄県浦添市伊祖】
日本で最初の「めがねトンネル」。
「伊祖の高御墓」(いそのたかうはか)と呼ばれる恵祖世主(いそゆぬぬし)の墓の真下を伊祖トンネルが通過している。
恵祖世主は、琉球王国の王、英祖王(1229~1299、在位1260~1299)の父親で、伊祖城に拠っていた。
「伊祖の高御墓」という名称は、墓が丘陵地の中腹にあることから名付けられている。墓内には石厨子一基と甕棺(かめかん)2基が安置されており、恵祖世主の他、二人の按司(あじ、あんず、首長、領主)が収められているという。
昭和47年(1972)2月25日、県の有形文化財(建造物)に指定されている。
昭和46年(1971)に国道330号線と県道153号線を立体交差させる計画があがったが、建設予定地で「伊祖の高御墓」と「浦添貝塚」が発見され、沖縄県民らによる保存運動と関係者の努力により、これらの遺跡を避けるように伊祖トンネルが建造された。
伊祖の高御墓の在る浦添大公園や、恵祖世主の居城伊祖城跡(戦時中、日本軍の陣地が置かれていた)の在る周辺は第二次世界大戦末期に行われた沖縄での地上戦の激戦地であるためか、周辺は心霊スポットと言われている。
伊祖トンネル及び周辺は事故多発地帯としても知られている。
延長:上り100.0m 上り100.0m、幅員:上り9.7m、下り13.4m、竣工:昭和50年(1975)
・ 前田トンネル 【沖縄県浦添市前田】
沖縄の伝統芸能「組踊」(クミウドゥイ)の創始者、玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)の墓(邊土名家の墓)の真下を前田トンネルが通過している。
玉城朝薫の墓の保全のため、敢えてトンネルという工法が採用されたという。
この墓は玉城家代々の家族墓で、朝薫本人は50歳で亡くなった後、首里石嶺町の個人墓に埋葬されていたのが、明治になってここに合葬された。
坑門が二つあるが、ひとつは工事が中断され10数年間閉鎖されたままの状態となっている。
噂では、この周辺は戦時中の防空壕がいくつもあった場所で、開発、工事をしようとするたび事故が起こりなかなか手が付けられずにいるという。
地元では幽霊の出るトンネルとして有名。
延長:92.0m
・ 辛亥(しんがい)隧道 (辛亥トンネル) 【台湾 台北市文山区辛亥路三段・四段】
(随時更新予定)
参 考
環境を配慮した工法設計 トンネル坑口部における墓地群への影響回避の検討(株式会社 片平新日本技研)
https://www.katahira.co.jp/works/cat15/2014/matsumura.php
地質と土木をつなぐの“貯蔵庫” 「めがねトンネル」
http://mishi.weblike.jp/eye_glass_tunnel.html
¢12.82mの大口径シールドトンネル(西松建設技報 VOL.7)
https://www.nishimatsu.co.jp/solution/report/pdf/vol7/g007_09.pdf
トンネルの上に墓地有って下に幽霊出るって良くある都市伝説だよな。(2ちゃんねる オカルト板)
https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1498742587/