藍那幽霊道
―最 終 章―

農作業用の小屋か 藍那幽霊道と呼ばれるスポットが藍那古道(太陽と緑の道)だという事以外何らこれといった進展も収穫もないまま時間だけが過ぎて行く。
ある日、軽自動車を借りる機会があったので、これ幸いと三度藍那幽霊道への挑戦を試みる。
狭い道の片側は崖、反対側は小さな谷川となっていて、私の車では到底走行出来ない。農作業か何かのために軽トラックが走れる程度といった感じだ。来ないとは思うが対向車でもあったら離合出来ない。

本当に大丈夫なのだろうか、何処まで進めるのだろう、この先には何があるのだろうか、様々な気持ちが入り混じる中細い山道を奥へ奥へと向かう。
しばらく進むと小さな谷川であったところは少しばかり開け、雑草の生い茂った田圃の跡と思われるところがいくつか視界に入る。こんな山奥にまで田圃があるのだと驚く。 更に進むと進行方向左に資材置き場か農作業小屋のようなものが見える。傍らには庭石にでも使うような大きな石が無造作に積み上げられていた。
小屋には鍵が掛けられていて何のためのものなのかは定かではないが、そこから少し行った所にも田圃があるので、農作業用の小屋かと思われる。

一家心中のあったと言われる小屋とはここの事なのだろうか。
周囲に訊く人が居る訳もなく、何の手掛かりも得られない。

使途不明の石 小屋に近付くと、竹薮の奥に石畳に使うような長方形をした花崗岩(御影石)の石板が無造作に積み上げられていた。
一面のみ研磨されているので、石畳か外壁などの装飾に用いる(用いた)ものだと思われる。しかし、これとて何も手掛かりとなるものは無かった。

これはかなり乱暴な解釈だが、以前にここで書いた「道の奥には小屋と墓石があり、そこが一家心中の現場だという」とのくだりが頭に浮かぶ。
夜間懐中電灯や僅かな灯りで竹薮に“長方形の御影石”が乱雑に積み上げられているのを見ると、先入観があればこれが無残に積み上げられた墓石に見えないだろうか。
そしてもうひとつに、この場所はほぼ車で行ける突き当りなのだ。
ここより僅かで、丹生山へ続く山道と奥にある田畑へと続く細い道へと別れている。

突き当り、小屋、墓石に見えなくも無い石・・・
一家心中の噂の真偽は結局藪の中だが、話の舞台となったのはここでは無いかと思われる。






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