穴の浦隧道
(穴裏トンネル)

穴裏トンネル
兵庫県丹波市青垣町と京都府福知山市を結ぶ穴の浦(あなのうら)隧道には奇怪な噂がある。
トンネルを通っていると何処からとも無く呻き声が聞こえてくる、女性の叫び声が聞こえる、白い着物を着た女性を見た、鎧武者を見た、生首が宙を舞うのを見た、運転手がルームミラーで後部座席の友人を見ると首が180度後ろに回っていた、ここを通り終えて帰って車を見ると車体に無数の手形がついていたなどといった話がある。
タクシー運転手によってはここを通らなければいけない場合は断ることもあるという。

青垣町側からトンネルに向かうと、途中の山肌には小さな朱色の鳥居が幾つも並んでいる。
実のところは不法投棄を戒めるために建てられた様だが、深夜、心霊スポットと呼ばれる山中で月明かりに照らされ朱に光る幾つもの鳥居はそれだけで独特の雰囲気を醸し出している。
また、確認は出来なかったのだが、聞くところによると福知山に抜ける手前には「鬼門」と書かれた札があるらしい。

余談ではあるが「穴の浦隧道」(穴裏トンネル)という変わった名称は、トンネルの真上(諸説あり)にある穴裏峠(あなのうらとうげ、標高240m)に由来しており、この峠の傾斜が余りに急なことから、先を行く人の尻に頭がつかえるほどだったとか、前を行く人の尻の穴の裏まで見えたほどだったという伝承に由来する。
穴裏峠には、東芦田(丹波市青垣町東芦田)に住んでいた平氏一門の公卿、丹波国司であった深草少将(芦田少将)が叶わぬ恋と知りながら、雨の日も雪の日もこの穴の浦峠を越えて福知山市小野脇の里にに住んでいた小野小町の許に通ったという伝説が残っている。
「ひょうごの主な峠」(神戸・兵庫の郷土史Web研究館 資料 dt30tog.pdf)によれば、「(穴の浦峠が)穴裏峠になったのは最近のこと。」とあり、トンネルの扁額も「穴の浦隧道」となっている。

参考データ
路線名兵庫県道・京都府道109号 福知山山南線
延 長213.0m
幅 員6.0m
竣 工昭和37年(1962)

2021/05/10 加筆再編集。






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