兵庫県加西市に二つ池という池がある。兵庫県道145号下滝野市川線が緩やかなS字形にカーブした所の両側にある大小二つの池である。
ここは昔から事故や自殺がよくある場所だといわれ、深夜に池の側を通ると、ヘッドライトに照らされた池の水面からは苦しそうに何かを掴むような無数の手が出ているという。 聞いた話では、今から30数年前の冬、大きい方の池に親子を乗せた乗用車が運転を誤り転落、しかし誰にも気付かれないままに時が過ぎ、春になり池の下の田圃に水を引くために池の水を抜いた時に初めて乗用車が沈んでいるのが発見されたという事があったという。 大きい方の池のほとりには地蔵尊が祀られ、台座には昭和42年(1967)8月24日の銘がある。或いはこの時に亡くなった自動車の親子の供養のために建立されたものかもしれない。 また、二つの池の間にも地蔵尊が祀られており、傍らには寛永6年(1629)と明治9年(1876)の銘をもつ墓碑が二基建っている。これらの墓碑は台座に「筆子中」とあり、これは家塾の生徒(=筆子)が師の菩提を弔うために建立されたものと思われる。
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