兵庫県道12号川西篠山線から分岐した川西市道52号線が猪名川を跨ぐ所にゴルフ橋という小さな橋が架かっている。鳴尾ゴルフ倶楽部へと続く道にあることからこの名前が付いたのだろう。
風聞ではあるが、ゴルフ橋の側を流れる川(一庫大路次川(ひとくらおおろじがわ))の近傍に処刑場があり、処刑された罪人の血で川の水が赤くなっていたという話がある。
当地方は山下城(注.1)を居城とする塩川氏の所領で、隣領の領主能勢氏とは代々折り合いが悪く、天正12年(1584)11月にはそれぞれの所領の農民同士の争いから死者が出るまでの騒動に発展したことがあった。
惣領家の塩川国満が豊臣秀吉に調停を願い出たところ、秀吉の命により双方の領内よりそれぞれ主謀者10人を出し、互いの領内で相手の村の者の処刑を行い、その他の者を追放に処した。この時、能勢村(能勢氏の所領)の農民の処刑が行なわれたのがゴルフ橋の北方、一庫大路次川上流にあった寺であったという伝承があり、前述の話はこの事を言っているのではないかと思われる。
ちなみに、対する多田村(塩川氏の所領)の農民が処刑された場所が心霊スポットとして有名な「能勢の妙見山」(仕置き場)
であったという。
ずっと時代は下って昭和20年代の事。折からの大雨で増水している猪名川に阪急バスが転落するという事故があった。
事故の詳細は不明だが、以来、雨の日になると川面の辺りから「ファーン、ファーン」という助けを求めるバスのクラクションが悲しげに鳴り響く事があるという。
また、ゴルフ橋周辺は川の水深が深く、これまでに何度となく川遊びをしていた子供が溺れて亡くなっており、子供の幽霊を見たという話もある。
余談だが東京都世田谷区の等々力渓谷(とどろきけいこく)にも「ゴルフ橋」
という心霊スポットがある。
参考データ |
所在地 | 兵庫県川西市西畦野地内 |
構造・規模 | t=80(95)※ 44.4㎡ |
※ ( )内は令和2年の変更後の数値 |
(「前川建設 施工実績 市道52号橋梁補修補強工事(ゴルフ橋)」より)
注.1 獅子山城、一庫城、龍尾城、塩川城、多田城 ともいう。