平田霊園の南に墓池(はかいけ)という名の池がある。
墓地の側に在ることから墓池という名前になったものと思われるが、なんとも不気味な名前である。 この池は見た目よりも深く、これまでに数度子供が溺れて亡くなっているという。また、中年女性の遺体が発見されたという話もあるが、共に事実確認には至っていない。 夜にこの池のそばを通ると、何処からともなく赤ん坊の泣き声が聞こえてくるという。 付近には地元では有名な幽霊屋敷(解体済)や、赤ん坊の泣き声が聞こえるという墓地などもある。幽霊屋敷で起こるといわれる怪現象に、家の壁に赤ん坊の顔が浮かび上がるといった話や、夜中に赤ん坊の泣き声が聞こえてくるという話がある。 墓池、墓地、幽霊屋敷(跡)は半径100メートル程の円に収まる位置関係にあり、この辺りに赤ん坊の泣き声に纏わる怪現象が集中しているように思える。 弊サイトにお寄せいただいた情報の中に、この幽霊屋敷の建っていた場所はかつては「後産」(注1.)を埋める場所だったという話がある。これは飽く迄私の想像でしかないが、穿った考え方をするならこの辺りは後産を埋める場所だけでなく(病原体による汚染等の観点から後産を埋めるという事は普通に考えられる事ではあるが)、かつては間引きされた子供たちが埋められた場所でもあったのではないだろうか。 後産を埋める場所というのは世間を憚るためであり、ここには間引かれた子供たちも埋められていた。そう考えるのは飛躍しすぎだろうか。
注1. 出産後に娩出される胎盤や卵膜。 |