活魚料理店

活魚料理店 ある外食産業のフランチャイズ店のすぐ近く、こんもりとした森の麓にその建物はあった。
赤茶色の鋭角な屋根の前面には大きな顔が描かれ、鼻まで付いている。これで廃墟でなければさぞかし可愛い建物だったと思われる。

事前に聞いた話では、この建物は二階建てであるにも関らず二階へ上がる階段が無く、木を伝って二階に侵入したところ室内には血痕が飛び散っていたというのである。
この話を聞いたとき、最初、「山の牧場」の話を思い出した。二階が有るのに二階へ上がる手段がない、室内に飛び散った血痕。まさに、山の牧場伝説に出てくる建物と同じではないか。
逸る気持ちを抑え、S氏と共に車を北へ走らせる。
ようやく見つけた目印のフランチャイズ店はメインの幹線道から少し外れた所にあり、そこから周囲を見回すと辛うじて森の茂みの中から特徴的な屋根の先端が見え隠れしていた。
あれに間違いない。畑や野原を歩く事数分、目の前にあったものはあまりにも異様な建物だった。
霊感云々以前に、荒れている上に構造自体が奇妙で、一種独特の空気が漂っていた。
いつもなら外観を眺めるだけど決して内部には入らないのだが、今回は問題の二階の部屋とそこに残されているという血痕が気になるあまり侵入とあいなった。
内部には2メートルを越すような大きな水槽や、活魚を入れていた籠、「踊り喰いはいかが?」などと書かれた看板、そして、何故か大きなイノシシの剥製などがあり、かつては活魚料理店であったのだろうと思われた。
よくよく見ると、二階への階段は扉の向うに容易に発見することができた。(様々な意味で)安全を確認しつつ恐る恐る階段を踏みしめ上って行くと、そこはコウモリの巣となっていた…
突然の侵入者に驚いたのか、数匹のコウモリが飛び交う。これはたまらない…
二階部分は屋根裏部屋といった感じで、左右に仮眠用?と思われるベッドがあり、部屋の中央には本などが散乱していた。
室内を一通り見渡してみたが、噂の血痕らしきものは見当たらなかった。ただ、(二階の)真ん中の部屋に転がっていた錆付いたカマが不気味だった。
三階へとつづくハシゴもあったのだが、あまりにも朽ちていて危険なのでそれ以上は進まなかった。

錆付いたカマ そうこうしているうちに不思議な事があった。
S氏と二階の屋根裏部屋をウロウロしていた時、私が何か人の気配の様なものを感じた。
「マズイ」そう思い、S氏と共に息を殺して様子を伺っていた。暫くすると、足音が聞こえ始めた…
観念したS氏は「同じ怒られるのなら明るい(広い)所で怒られましょう」と、私の前をスタスタと階段を降りて行く。
下に下りた次の瞬間、雑然とした部屋の中から裏の森の中へ目の前を黒い人影が音も無く通り過ぎていった。
管理人や近所の人なら(私たちの行動を)注意するだろうし、そうでなかったとしても何かが動いていたのだからガサガサという音ぐらいしそうなものである。
しかも、それは犬やイノシシではなくそれはちゃんと人の姿をしていた。

その日の夜、S氏からメールが来た。
どうやらS氏が(幽霊を)連れて帰ってしまったらしい。しかし、幸いなことに帰宅後家でお払いをしてもらい、翌日にはなんとか治まったということだった。

活魚料理店の画像はこちら(外部リンク)
【 Ruins 】 ⇒活魚料理店





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