木○の廃屋

木○の廃屋
兵庫県のO町に不気味な廃屋があると聞いて訪ねてみることにした。
幸いその廃屋があるという界隈の地理には詳しかったので容易にその廃屋を見つけることが出来た。
その廃屋はある私鉄沿線の無人駅の北側、高台の中ほどにあった。
外観もそれほど傷んでなく、普通の空家のように見えるが、玄関先や庭に積もった落ち葉や生い茂るススキが長らく人が住んでいない事を物語っていた。
入口には高さ2メートルほどはあろうかという巨大な自然石の門柱が建っているが、門扉のようなものは無かった。庭には屋根ほどの高さのあるシュロが3本ほど植わっており、建物は近年見られるようなデザインをしており、ロフトもあるように見える。周囲にひろがる田畑や古くからある民家などの中にあっては当時はかなり斬新だったと思われる。
しかし、(私の知る限りでは)特にこれといった話も無く、ただの廃屋という結論だった。

しかし、話はこのままでは終わらなかった…
廃屋を訪ねた次の日の事だった。
その日はいつになく眠れず、午前2時半までは起きていた記憶がある。
それでもいつの間にか眠っていたようで、これからお話する事は私自身夢なのか現実なのかはっきりと覚えていない出来事である。しかしその時の恐怖というのは今もしっかりと心に刻まれている。
眠っていて何かの気配に気がついた、ふと目をやると(横になって居る)自分の左に中学生ぐらいの女の子が星座をしてちょこんと座っているではないか。
実際に私に話し掛けてきたのか、私の心の中に話し掛けてきたのかははっきりと覚えていないのだが、兎も角その少女は泣きながら何かを私に懸命に訴えかけてきていた。
不思議な事に何故かその少女は14歳だという事だけをはっきりと覚えている。
少女はただ泣きじゃくりながら何かを懇願するのだが、生憎、恐怖心が先にたった私にはその少女の訴えを聞くより兎に角逃げ出したいという気持ちばかりが頭の中を駆け巡っていた。
枕もとのお守りを探そうと体を動かそうとするのだが金縛りにあって動かない…眼も開かない…
極限の恐怖心に晒されたまま、私はひたすら心の中でお経を唱えていた。
どれだけの時間が経っていたのだろう、気がつくと何事も無かったように朝を迎えていた。
私の前に現れた少女と前日に訪れた廃屋は何か関係があるのだろうか?
近々、再び現地を訪れてその廃屋に何か因縁めいた話が無かった調べてみようと思っている。






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