火災現場

とある集落の雑木林の中に黒く焼けたログハウスが無残な姿を晒している。
火事の原因は放火とも自殺を図り自ら家に火をつけたとも言われているが定かではない。
これまでに何度となく炎に包まれた髪の長い女性の幽霊が目撃されており、地元の人は霊に取り憑かれると言って誰も近寄らないという。

令和元年(2019)9月某日、現地を訪れる。
大体の見当をつけ集落の中を進んで行く。
「この辺りだと思うんだが…」徐行しながら周囲を見回すと、ログハウス風の建物が目に入る。丁度その前辺り、路側が広くなっている場所があったので車を停めて徒歩で周囲を散策する。
少し進むと、道端に不法投棄と思しきゴミが散乱している一角があった。
この時点で既に何か嫌な感じはしていた…
ふと前を見上げると、雑木林の中に黒く焼けたログハウスが無残な姿を晒していた。
「! ………」
筆舌に尽くし難い重苦しく嫌な感覚に圧し潰されそうになり、不覚にも逃げ出しそうになる。
これまで(真偽のほどは別としても)心霊スポットと呼ばれる所、「行ってはいけない」と言われた所に何度となく足を踏み入れたが、正直私的には此処が一番キツかった。
先入観や思い込みと言われるかも知れないが、それを目の当たりにした者にしか分からない感覚ではないだろうかと思う…

後になって思ったのだが、人が死んだ現場が、人が死んだ時のままの姿で目の前に在る。それが得も言えぬ恐怖感として襲ってきたのではないかと思う。

しかし此処まで来た以上おめおめと引き下がる訳にはいかない。更には、もう二度と来たくはないないという強い思いもあり、気合を入れて焼けたログハウスをはじめ気になる場所を写真に収める。
よく見ると、ここは売りに出されているようで、「110坪 180万円」と共に「相談? 相談? 相談?」と書かれた手書きの電波系の張り紙があったり、ゴミの中に顔の無いこけしが描かれた油絵が捨てられてあったりと、心霊以外でも何かしらただならぬ雰囲気が漂っている場所であった。

怖くなったので帰りました 嫌な気分になりました
蛙が鳴いたので急ぎました 走ってたら転びました…






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