夫婦岩
(紋左衛門岩、オ○コ岩、マ○コ岩、別れ岩、二つ岩、お化け岩、タタリ岩、稲荷岩、カラス岩、死の岩)

夫婦岩
兵庫県西宮市、兵庫県道82号大沢西宮線の中央を占拠する小山のような巨大な岩の塊。
兵庫県南部の“心霊スポット”の中では、知名度からいけばここはかなりメジャーなスポットのひとつではないだろうか。
道路を迂回させているという事実(=見た目のインパクト)に加え、「オ○コ岩」あるいは「マ○コ岩」という口にする事を躊躇われるような名前もまたある意味インパクトを与えているのだろう。

私事になるが、この巨大な岩との出会いにはちょっとした想い出がある…
その日、私用で出かけ帰路についていた私は県道大沢西宮線を六甲山方面に向けて車を走らせていた。
夜の10時頃だっただろうか、走られた事のある方はご存知だろうが、この県道はそんなにカーブが連続するというような道でもなく、むしろストレートに近い。そんな道を何も知らずに走っていた時のこと、突然、目の前に左方向に迂回するように指示した矢印がヘッドライトに照らされ浮かび上がった。
そこそこスピードを出していた私は突然の事に慌ててハンドルを切りカーブをクリアした。
そう、今にして思えばこれが夫婦岩との初めての出会いだった。
その存在は知っていたが、当時の私は、
「西宮に道の真ん中に大きな岩があって、どかそうとするとタタリがあるからそのまま道が左右に迂回しているんだって。」
という“人から教えてもらった怖い話”程度の認識しかなかったので、いきなりの深夜のご対面にいささか肝を冷やしたのを今でもはっきり覚えている。

道路の中央を占拠するこの巨大な岩には様々な言い伝えや噂がある。
まず、その名前の謂れなのだが、大きな岩が二つ寄り添うようにある(実際には一つの岩が裂けたものと思われる)ことから「夫婦岩」と呼ばれ、鷲林寺に参詣する人々から夫婦円満の願いを込めてそう呼ばれるようになったらしい。
しかし、今となってはその名前を知る人も少なく、心霊スポットとしての「オ○コ岩」あるいは「マ○コ岩」という名前の方が幅を利かせているのは残念な話である。それは、岩が二つに割れている様子から名付けられたとか、岩の左右を迂回する道から名付けられたともいう。
道を左右に分けているところから「別れ岩」という夫婦岩とは全く逆の名前で呼ばれていたり、その形から「二つ岩」と呼ぶ人もいる。また、かつては、古い伝承に基づき「紋左衛門岩」とも呼ばれいた。

次に、心霊スポットとしての夫婦岩にまつわる話をいくつか紹介しよう。
白狐が棲み着いているので撤去しようとするとタタリがあるという話、また、ここには巨大な白蛇が棲み着いているとも言われ、ある人がこの岩の上に生えている木を切ろうとしたところ、巨大な白蛇が現れ、その人は高熱を出して数日後に亡くなったという。
比較的最近の話では、0時0分丁度にこの岩に行くと、首から上が牛で体が女性(十二単姿と言う話もある)という姿をした「牛女」(例えるならミノタウロスの女性版といったところか)が出ると言う噂がまことしやかに流布した時期があり、この夫婦岩に触れるとその牛女が現れると言った話や、触ると死ぬという話もあった。
他にも、この岩の前では、白い姿の女の人、男の人、赤ちゃんを抱いた若い女性(いずれも幽霊)を見たという話、白い人影が見えたので避けようとしてハンドル操作を誤り事故を起こしたという話、深夜、このこの岩の裂け目から女性の生首が浮びあがる、岩の裂け目から女性の生首が睨んでいる、岩の裂け目から無数の白い手が伸びて手招きをしているという話、この岩には目のような模様が有り、その目のような模様と目が合うと事故を起こすなど、この大岩にまつわる怪談は調べればいくらでも出てくる。
また、この夫婦岩の傍を車などで通る時、たとえ心の中であっても「オ○コ岩(マ○コ岩)」という言葉を出すと必ず事故を起こす(事故に遭う)といった話もある。
不本意な名前を付けられた夫婦岩にしてみればもっともな話であろう。

何故このような巨大な岩の塊が道の中央を占拠したままなのか。
加えて、この巨大な岩を避けるように左右に迂回してつけられた道路。
それにはこんな不思議な話が伝わっている。
昭和13年(1938)の阪神大水害で西宮市界隈も大きな打撃を受けた。そして、復興計画が持ち上がった時に、これを機に従来の県道を拡張しようということになり拡張工事が行われた。
その時、県道通過予定地の真中を占拠していたのがこの夫婦岩だった。当然、県道通過の妨げとなるこの夫婦岩は爆破撤去するという事が決定された。
そして、爆破の準備は進められ、いよいよ明日爆破作業という日(爆破予定日の前日)、突然今回の工事に携わっている工事主任が急死した。
あまりに突然の事にこれはタタリに違いないということになり爆破作業は急遽中止。以来、誰もがタタリを恐れて夫婦岩を撤去しようとはしなかった。
しかし、その数年後、そんなものは迷信だと言って夫婦岩の撤去(爆破)作業を申し出た建設会社の人間が居たのだが、奇しくもその人も爆破作業の前日に急死してしまった。
確証はない話なのだが、戦後日本に駐留していたGHQ(連合国軍最高司令部)が軍事物資の輸送用にこの道路を整備しようとしていたが、その時にも怪事が起き結局この岩は撤去できなかったという話も聞いた。
これらが事実であるとすれば、偶然と言うにはあまりにも不思議な話である。

話が脱線するが、全く違った見地から話をすると、(詳述は諸先輩に譲るとして)一部に甲山(夫婦岩のすぐ傍)は一種の古代のピラミッドであり、今から2~3万年前には甲山を中心に「カタカムナ文化」と呼ばれる巨石文明が存在したという説を提唱するむきもあり、この夫婦岩もそれらの巨石遺構の一つだったのではないかと言う人もいる。

道路の中央を占拠する巨大な岩にはまだまだ多くの謎が残されているようだ。

末筆となりましたが、今回の探訪は平素より様々な情報をご提供頂いているS様にご同行戴いてのリポートでした。この場をお借りしてお礼申し上げます。


2005/05/25 バーナード様からのご寄稿を元に加筆再編集。


夫婦岩にまつわる伝説はこちら(外部リンク)
【 Nightmare's Psychiatry Examination 】 ⇒紋左衛門岩


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