第二神明道路の大蔵谷ICへ向かう道の途中、新興住宅街やマンションの中に金網に囲まれた大きな更地がある。
以前、ここにマンションを建設する計画があったがどのような理由からかマンション建設は中止となり、長い間、更地のままとなっている。 片隅には、よく溜池の傍で見かける「あぶない ここであそんではいけません」という立札が立っている。 かつてここに大きな池があった。大物が釣れるという事でヘラブナ釣りをする人達の間では知られた池だったらしく、いつも誰かが釣り糸を垂れている姿が見られたという。 そんなある日のこと、この池に遊びに来た子供が水面に人が浮かんでいるのを見つけ騒ぎとなった。 私の聞いた限りでは事故死だったのか自殺だったのかについては定かではないが、今思えば恐らくは釣りに来た人が誤って池に落ちたのだと思われる。 この一件が起こって間も無くのこと、この池の管理人は事故の再発を懸念し、釣り人や子供が来ないようにとこの池に毒を流し、すべての生き物を殺してしまった。 以来この池には長い間魚の姿は無かったという。 それとは別に、この池にはここで溺れて亡くなった子供の幽霊が出るという話がある。 池の底は泥が堆積しているため、発見されずに泥の中深くに沈み込んだままの遺体があるという噂などもあった。
そんな曰く因縁のあるこの池も今は埋め立てられ更地となり、片隅に残る注意の看板だけがかつてここが池であった事を伝えるのみである。
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