パンツ池

1960年代の航空写真に写っているパンツ池らしき池
釣りの好きな知人から聞いた話。
随分と昔、神戸の山の中に「パンツ池」という名前の池があった。正式な名前は他にあったのだろうが、みんなは「パンツ池」と呼んでいた。近付きにくい場所にあるので釣りに来る人もそう多くなく、大物狙いの釣り人がたまに来る程度だったという。
人から聞いた話で、自分が見たとかじゃないんだけれど… といって、知人がこの池にまつわる不気味な話を聞かせてくれた。

この池で釣りをしていて水面から人の手が出て来たのを見た人がいたとか、人の顔が出て来たのを見た人がいたらしい。ここで溺れた人か自殺した人がいたんじゃないかな… と話してくれた。
これも人から聞いた話だし、(この池で起こる気味の悪い出来事と)関係があるのかどうかは分からないけど… といって、続けてこんな話を聞かせてくれた。
釣りに来た人が池の岸に男物の靴が揃えて置いてあるのを見付けたことがあったらしい。
言い表しようのない気味悪さを感じたが、折角来たのだし誰かのイタズラかもしれないと、半ば自分に言い聞かせるようにして釣りをすることにした。靴のそばで釣りをするのは気味悪いが、皮肉なことにそこは釣りをするにはもってこいの場所であった。靴の事は気にしないようにして、何度となく池に目掛けて竿を振る。
特に変わったことも無く、釣りに没頭するうちいつしか靴の事も頭から消えていた。
大きく竿を振った時、そばの木に針が引っ掛かり、糸がピンと張る。針を外そうと木に近付いて行くと、足元の草むらに免許証らしきものが入った財布や数枚の督促状が捨てられてるのを見付けた。
釣りに来ていた人は片付けもそこそこに逃げるように帰って行ったという。
今から何十年も前の話で、池も埋め立てられて今はないという。

話をしてくれた知人にパンツ池が何処にあったかを尋ねると、朧げな記憶を辿るように教えてくれた。
随分と昔の話で記憶も曖昧なことに加え、今は周辺の様子も変わっているので探す(場所を特定する)のは難しいのではないかと言っていた。
大まかな場所を教えて頂いたが、当然と言えば当然だが今その辺りに池(の跡)らしいものは見当たらない。埋め立てられたというから家か何かが建っていることが考えられた。
地名と当時の雰囲気、そして最近頓(とみ)に活用している過去の航空写真を駆使して探してみる。
教えてもらった辺りを現在の航空写真で確認してみると、山間部の平地に所狭しと住宅街が広がっている。教えてもらった場所の近くには干上がったオープン式調整池らしきものはあるが、池らしきものも見あたらない。
ひとつひとつ航空写真の年代を遡っていくと、1960年代の写真に池が写っているのが確認出来た。ここがパンツ池と思われる。
1970年代の写真を見ると周辺は住宅開発が進むんでおり、宅地開発とともに埋め立てられたようで池は更地になっていた。
現在、池の跡には工場が建っている。

何故この池がパンツ池と呼ばれているのかは分からないが、広島県福山市のパンツ池(菱原池)や兵庫県川西市のパッチ池(奥池)などは、池の形がパンツやパッチ(ももひき)に似ていることからこの様に呼ばれている。

画像引用元
国土地理院ウェブサイト「年代別の写真」(https://maps.gsi.go.jp/help/intro/looklist/2-nendai.html)より
「1961~1969年」掲載画像の一部を引用



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