貞子池 (仮称)

貞子池 釣り好きの友人に誘われ釣りに出かけた時の事だった。
釣果が思わしくないと次の場所へと移動する、そんな風に何度か移動しているうちに、彼らが「貞子池」と呼んでいる池に連れて行ってもらった。
そこは、神戸市のほとんど北端、周囲は人家もまばらな所にあるやや大きな野池だった。
貞子池という呼び名は彼らが勝手にそう呼んでいるだけであって、正式な名前はわからない。もっとも、名前さえあるのか否か定かでは無い様な寂しい所にある池である。

山裾に位置し、傍らには共同墓地があるという周囲の雰囲気から、映画などで一躍有名になった『リング』に登場する“貞子”でも出てきそうだと言う理由から、冗談半分に「貞子池」と呼ぶようになったらしい。
ともすれば見落としてしまいそうな、車一台が辛うじて通れるかというような細い道を通り、墓地の駐車場に車を停める。
墓地の横を通り、池へと向かう。金網(フェンス)に覆われたその池は、一見どこにでもあるような野池なのだが、何か非常に嫌な空気を感じるのだ・・・
それは、オーバーに聞こえるかも知れないが、墓地の存在や先入観とは明らかに違う、人の本能の部分でしか感じる事の出来ない肌寒い嫌な空気なのだ。
これまでに様々な心霊スポットと呼ばれる所を訪れた私だが、こんなにも嫌な空気を感じたのは、「有○の廃屋」(公開中止)とここだけである。
理由は解らない、ただ何となく「ここに居たくない。ここには近寄ってはいけない。」と強く感じるのだ・・・
しかし、来てすぐに帰ろうとも居えず、しばらく友人と一緒に釣り糸を垂れていた。勿論、心の中では釣りどころではない。
何度となく竿を振っていて、ふと対岸に目をやると何か草むらの中に工事用の足場に用いるような仮設の階段のようなものと手すりが見えた。
目を凝らして良く見ると、その階段の先には池を見下ろすように小さな白い祠が祀られている・・・
「やはりここは何かある。」その小祠を見て、私はそう確信した。
その小祠が何をお祀りしているのかまでは現在のところ分らない。弁財天(元来は水神、農業神)を祀ったものなのか、もしかするとその池で亡くなった人の慰霊のために建立されたものなのかも知れない。
しかし、嫌な空気の原因はこの小祠とはあまり関係なさそうな気がする・・・
つまりは池全体から何か嫌な“気”が発生してるようなのだ・・・

後日、別の友人から聞いた話では、祠の由来は分らないが、あの祠の辺りからよく蛇が出てくると聞いた。偶然なのだろうが、奇しくも蛇は弁財天のお使いであると言われている。






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