飾磨港のトイレ

飾磨港のトイレ
幽霊が出るというトイレの話は日本各地にあるが、姫路市の飾磨港にある公衆トイレにも幽霊の噂が有る。
ここには女性の幽霊が現れると言った話や、未明にトイレの壁に男女の霊の姿が浮かび上がるといった話がある。

飾磨港は姫路市にある東西18キロメートルにも及ぶ姫路港の一部で、その南端にある小さな公園に幽霊が出ると言われる公衆トイレがある。
木々に埋もれるようにして佇むトイレは昼間でも薄暗く、タイル張りの外観もどことなく古さを感じさせ、公衆トイレの持つ独特の雰囲気に更に薄気味悪さを加えている気さえする。
女性の霊が現れるのは男子トイレか女子トイレなのか定かではないが、男女の姿が浮かび上がるというのは男子用トイレということだった。
中に入って見たが特にこれといって変わった様子も無く、個室にはお約束のように落書きがあるばかりだった。もっとも、私がここを訪れたのは昼をいくらか過ぎたということもあるのだろうか。霊の姿が浮かび上がるのは未明ということなので、あるいはその頃に来ればまた何かが見えたのかもしれない。

さて、気になるのは何故このトイレに女性の霊が現れたり、男女の霊の姿が浮かび上がるのかなのだが、私が調べた範囲では特にここ(飾磨港)やこのトイレで事件や事故があったといった類の話は聞かなかった。
実際に事故か何かで命を落とされた方が居たのだろうか、それともただの噂にすぎないのだろうか。

これを書いた当時、私の不勉強から周辺で事件や事故があったといった話は聞かなかったと書いていたが、(姫路港全体としては)これまでに何度となく車の転落事故や自殺があり、更には、その残忍な犯行と警察の怠慢で世間の耳目を集めた「姫路2女性殺害事件」の死体遺棄の現場にもなっていた。
これらの事件、事故を知っている限りで列挙すると、
平成14年(2002)9月4日。姫路市飾磨区細江の姫路港で市内の歯科医師(41)の運転する車が急発進でバックし岸壁から転落、歯科医師が死亡。
飾磨署によると事故と自殺の両面から調べている。
平成16年(2004)6月10日。姫路市飾磨区細江の姫路港飾磨埠頭東側岸壁から50代とみられる女性の運転する車が海に転落、女性が死亡。
警察によるとブレーキの跡がないことなどから、自殺とみて調べている。
平成17年(2005)1月4日。姫路市飾磨区中島の姫路港から大阪市の無職男性(59)と同居の女性(52)の乗った車が海に転落、男女が死亡。
警察によると遺書のようなメモが残されていたことから、心中を図ったとみられる。
平成22年(2010)10月3日。姫路市飾磨区細江の姫路港の岸壁から釣りに来ていた市内の無職男性(80)が運転する車が海に転落、男性が死亡。
車を後退させる際、車止めを乗り越えて海に落ちたという。
平成27年(2015)5月26日。兵庫県姫路市飾磨区の姫路港から70代とみられる男女が乗った車が海に転落。詳しい容体、男女の身元は不明(報道時)。
警察によると事故と自殺の両面から調べている。
詳細は不明だが、公園(緑地)側の路上では路上駐車中の車内で練炭による自殺も起こっている。

そして、平成17年(2005)1月に起こった「姫路2女性殺害事件」の死体遺棄現場の一つがここ飾磨港だった。
ウエダコウイチこと高柳和也(39)(2013年11月25日に死刑確定)は二人の女性を殺害後、バラバラにした遺体をここ飾磨港と壺根港(兵庫県相生市)に遺棄。頭部はバケツに入れセメントで固めて飾磨港に遺棄したと証言した。
それぞれの場所からは遺体の一部が発見され、DNA鑑定の結果、殺害された二人の女性のものと確認されたが、頭部は未だ発見には至っていない。

平成30年(2018)7月、十数年ぶりに訪れると、正面にはカラーコーンが置かれ、「配管漏水 使用出来ません。 姫路港管理事務所」と書かれた紙が貼られていた。閉鎖されていたであろう個室のドアは開けられ、そこかしこにゴミが散乱し悪臭を放っていた。
トイレが使用されなくなった今、やがて人々の記憶から飾磨港の幽霊も消えて行くのだろうと思った。

※おことわり
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2018/07/31 加筆再編集






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