太郎池
(牛山池)

太郎池
兵庫県に存在するため池の数は平成31年(2019)4月時点で24,400カ所を数え(農林水産省農村振興局整備部防災課調べ)(注.1)、その中でも降水量が少なく大きな河川のない淡路島が全体の4割以上を占めている。
淡路県民局の調べでは淡路市のため池数は13,301カ所で全国の市町村で最多。2位が洲本市の7013カ所、8位の南あわじ市が2483カ所と全国トップ10に入っている。

先にも触れたが、降水量が少なく大きな河川のない淡路島では、上下水道が普及する近代以前までは生活水、農業用水等の確保のため多くのため池が造られた。
そんな数ある淡路島のため池の中でも「淡路国最大の溜池」と言われる太郎池がある。
周囲約4キロメートル、淡路で最も大きいことから太郎池の名が付いた。付近を「池ノ山」と言うのもこの太郎池に由来する。
バス釣りスポットとして知られた場所だと聞いた。
自殺の名所といわれ、1980年代中頃にはこの池でよく自殺があったという。取り立てて報道されることはないが、今でも、毎年ここで事故や自殺で数人の人が亡くなっているともいう。
さらに怖ろしいことには、池のそばを通った時に何か得も言われぬ気持になり、引き込まれるようにして池に入って行ってしまった人もいたそうだ。(この話が本当なら、幸いにも一命を取り留めた人の体験談ということになる。)
ここで亡くなった人の霊が近付いた者を引きずり込むのだという。また、詳しい事は分からないが、池の周囲でも度々怪奇現象が起こっているという。
そのような噂のある場所なので、地元の人はここに近寄らないらしい。

傍証を得られていない話をそのまま載せることは躊躇われるのだが、聞いた話では淡路島(の一部?)では遺体をため池に遺棄する事があったらしい。
処刑された罪人、また飢饉や疫病の流行で一度に多くの人が亡くなった時、墓地に埋葬出来ない亡骸を池に遺棄した。
これらの池は「さんま」(注.2)と呼ばれ、人々から忌避されていた。これらの場所の多くは池の傍らに地蔵尊が祀られているのでそれと分かるのだという。

参考データ
国コード282050228
兵庫県ID20570245
築造年代不明
型  式中心遮水ゾーン型 / 谷池
天 端 幅4.6m
堤  高5.4m
堤 頂 長92.5m
総貯水量92000m3
満水面積4.5ha
(参考:『兵庫県「ため池の保全等に関する条例」』、『兵庫県「ため池データベース」』、「全国農業用ため池マップ」)

農村地域防災減災事業(太郎池・皿池)により改修
平成27年(2015)測試
平成30年(2018)11月完成
全体事業費:266,000,000円
事業費 平成30年度当初予算:40,000,000円
事業費 平成31年度当初予算:1,000,000円

注.1 昭和46年(1971)には55,000カ所以上あったと記録され(出典不明)、平成29年(2017)4月時点では37,696カ所(兵庫県調べ)、平成30年(2018)4月時点では37,652カ所(兵庫県調べ)となっている。
注.2 三昧(さんまい)。ここで言う三昧とは両墓制の埋め墓(土葬墓、埋葬地)。梵語の“samadhi”の音訳で、原義は「一つのことに心を専注して無念になること。」(広辞苑)。



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