旧 天神隧道
(旧 天神トンネル)

兵庫県道295号線が多可町八千代地区を抜け糀屋ダム(翠明湖)へと向かう途中に天神トンネルがある。
現在供用されている天神トンネルは平成10年(1998)に完成したもので、それまでは現在の天神トンネルより上、数10メートル南側を並走するように通る旧兵庫県道295号八千代中線に設けられた天神隧道(通称 旧天神トンネル)が使われていた。
昭和28年(1953)に竣工。延長218メートル、幅員3.1メートル。平成10年(1998)、現在の天神トンネルの開通によりその役目を終えた。
坑門(トンネルの出入口)上部に掲げられた扁額には、右書きで「天神隧道」と書かれ、東側坑門には「昭和二十九年四月 兵庫縣知事 岸田幸雄」、西側坑門には「昭和二十九年 縣会議員 眞鍋又治郎」と記されている。
現在は東西両方の坑門は鉄格子で厳重に封鎖されており、通ることは出来ない。

このトンネルには、(真偽の程は定かではないが)建設時から共用期間を経て閉鎖されるまでの三つの時代に亘り死の影がちらついている。
まず、建設工事中に作業員が事故で亡くなったといい、亡くなった作業員の掛け声が今もトンネルの中から聞こえるという。
次に、まだトンネルが現役時代だった頃、坑門の手前に設けられた高さ制限のバーで何度となく首吊りがあったという。
自殺された人の霊がこのトンネルの中を彷徨っているのだろうか、トンネル内部の壁に女性の顔が浮かび上がるという話があり、その顔を見た者は事故に遭うという。中から不気味な大勢の人の笑い声が聞こえるといった話や幽霊を見たという話もある。
また、トンネルを抜けてすぐの所にある糀屋ダム(翠明湖)で亡くなった人達(主に自殺)の霊がこのトンネルに集まってきているのだと言う者もいる。
そして、トンネルが閉鎖されてからも、坑門を塞いでいる鉄格子で首吊りが何度もあったいい、縦横に走る鉄格子のメインフレームが“鋼鉄の十字架”の様であたかも首吊り死体が十字架に掛かっているように見えたという。
彷徨える魂の為せる業なのか、閉鎖された今も尚、深夜にここを訪れるとトンネルの奥から不気味な大勢の人の笑い声が聞こえてくるという。
山の中にひっそりと取り残された廃トンネルには今も成仏できない霊達が集まって来ているのかも知れない。

実は、旧トンネルと並走するように設けられた新トンネルにも、中で白い女性の幽霊を見た、深夜トンネルを通ると無数の子供らしき小さな手形が窓ガラスにベタベタとついていた、といった奇怪な噂が囁かれている…
彷徨える霊たちは新トンネルの方にも集まって来ているとでもいうのだろうか。

参考データ
路線名旧 兵庫県道295号 八千代中線
延 長218.0m
幅 員3.1m
高 さ2.7m
竣 工昭和28年(1953)
覆工の有無素掘、コンクリート
廃 止平成10年(1998)






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