戸田の幽霊

志染町戸田 大正時代(1912〜1926)初め頃、美嚢郡志染村大字戸田(現 三木市志染町戸田)に住むある男の家での出来事だった。
ある夜のこと、男が目を覚ますと縁側の方からぼんやりと明かりが射し、大勢のざわざわとした音が聞こえてくる。明かりの射す方を覗くと長い縁側に僧侶と思しき人たちがずらりと並び座敷に向かって思い思いに意味不明な事を話している。
黒い衣、紫の衣、様々な衣を身に纏った僧侶のような人々をよく見ると、それは男のご先祖様だった。 居並ぶ人々の中には祖父母、両親の顔もはっきりと見て取れたという。
恐ろしさの余り男は、ただただ手を合わせ一心不乱に念仏を唱えるしかなかった。
やがて、東の空が白み始めるとご先祖様の幽霊も消えて行った。

恐ろしくなった男は、親類を呼んで家に泊ってもらう事にした。
すると、ご先祖様の幽霊は昨夜よりも多くなり、昨夜にも増して一段と大きな声で話し始めた。
そんなことが、次の夜もまた次の夜も続き、男はろくに眠る事も出来ずすっかり疲れ切っていた。
困り果てた男が易者に家で起こる怪異を相談したところ、
「お前は最近山を切り拓いているだろう。その時に、先祖の墓と知らずにそれらを掘り返してしまっているからだ。」
と言われた。
慌てて男が調べてみると、なるほど易者の言った通り知らずに先祖の墓を掘り返して開墾していた。
そこで、僧侶を招いて供養してもらったのだが一向に幽霊の姿が消える事は無い。
とうとう本山より高名な僧侶に来て頂き、お経をあげてもらったところ、幽霊はひとつ、またひとつと消えて行き、ついにはすべてのご先祖の霊は消えていったという。

末筆となりましたが、本項は Nightmare 様(from Nightmare's Psychiatry Examination)のご厚意により、お寄せ頂きました未公開原稿をそのまま掲載させていただきました。
この場をお借りして、今一度お礼申し上げます。






本ページはフレーム構成となっております。
左端にメニューが表示されていない場合はこちらからどうぞ。