異説 山の牧場
畜舎 その所在が明確になり、一時期の熱も冷め人々の記憶からも徐々に忘れ去られようとしている「山の牧場」。
「山の牧場」は当時オカルトマニアを中心に関西圏ではかなり知られた話で、一種の都市伝説とも言われていた話である。
この話が初めて活字化されたのは、私の知る限りでは『新耳袋 − 現代百物語〈第四夜〉』新書版(1999、木原勝浩・中山市朗 共著、メディアファクトリー 刊)で、著者の中山氏が実際に身の危険を感じ17年間活字化できなかったといういわくつきの話である。

話の概要は、
中山氏が大学生の時、映画サークルのロケ地を探していて偶然牧場のような所に迷い込んでしまう。
そこは使われた形跡の無い綺麗な牛舎や、実験室のようなものがあり、また奇妙な二階建ての宿舎のような建物もあった。そこには、一階に石灰が山積みにされ、二階建てなのに二階に上がる階段らしきものが無かった。また、その部屋には人形が転がり、部屋中にお札が張られていた。
中山氏らはそこをUFOの基地ではないかと話していたところ、その話を聞いたKという人物が数日後に失踪。
5年後、中山氏らが再び現地を訪れるとそこは普通の牧場となっており、当時はその牧場の存在を誰も知らなかったのに、後で付け加えたようにその牧場はある医師が道楽で牧場を経営したが経営不振から破綻したという話が町の人たちの間で周知の事実であるかのように語られていたという。
その後、小学校の林間学校でその牧場の敷地を借りるという話を聞いた中山氏がそれに同行。
しかし牧場で放牧している様子はなく、中山氏が従業員に牛の所在を聞いたところ、牛は窓の無いトタン板で囲まれたとても牛が飼えそうにも無い牛舎の中に居るという話だった。中山氏もそれ以上は聞けなかった。
さらに数年が経ち、所属事務所の某タレントにその牧場に連れて行ってくれとせがまれ行く。そして、山を下りて牧場を見上げると、それまで満天の星空だった夜空がにわかに掻き曇り、山の上にはそれまで見えなかったはずの満月のような月(UFO?)が光っていた…

という話である。

前置きが長くなったが、この『山の牧場』伝説は一般には兵庫県の和田山(朝来郡和田山町(当時))界隈ではないかと言われているが、実際にその場所を確認した人は居ない。

そう書いたのが平成15年(2003)6月のことだった。
その後、様々な検証が行われ、現在は朝来市和田山町にある牧場の廃墟が有力な候補地とされている。
否、巷間ではそこで間違いないと結論付けられている。

ところが、ここに興味深い話がある。
「山の牧場」の話が初めて活字化されたのが平成2年(1990)。
(この年に『新耳袋 − 現代百物語〈第四夜〉』新書版に初めて「山の牧場」が掲載された。)
その2年後にアポロン(後のバンダイ・ミュージックエンタテインメント)より発売された『証言! 私は恐怖を体験した!!』(廃盤)というVHS作品で既にこの「山の牧場」が取り上げられているのである。
それによると、兵庫県のAという町の丘陵地に、建設されて使われないまま放置されたような家畜舎の廃墟があることを紹介。
その近くには建設途中で工事を中断されたビルがあるのだが、不思議な事に1階の入口が何処にも無い。更には女性が殺害されたという廃墟となった幽霊旅館(「貴○荘(跡)」参照)も近くに存在する。
そして、これらの家畜舎の廃墟(牧場)、建設途中で放棄されたビル、女性の幽霊が出るという旅館を線で結ぶと三角形が現れてくる。この三か所の廃墟の示すものは何なのだろう?
本作品では、この幽霊旅館に夜間に潜入。この時、スタッフが女性の叫び声を聞いたというのだが、不思議な事に収録中のビデオには音声(叫び声)が入っていなかったということである。
(※ 作品中ではライブ音声が全てカットされている…)

畜舎内部 Aという町にあるという事は分っていたのだが、Aという町のどの辺りなのかを特定するのに暫く時間を費やすこととなってしまったが、それでもなんとか所在を確認。

実際にAという町を訪れる。
廃墟となった畜舎は幹線道から軽自動車が通れる程度の細い道を降りていった海の傍にあった。
その道の入口には「A別荘地」と刻まれた石碑がある。何故、別荘地に畜舎なのか?何から何まで不可解である。
畜舎は傷みが酷くかなりボロボロになっていて、中には手綱を繋いでおく柵のような物や、U字形のブロックで作られた飼料を入れる溝などがあるのだが、不思議な事に全く使われた形跡が無かった。
そういった点では不可解な部分の多い廃墟ではあるのだが、『新耳袋』との相違点として実験室のようなものは見当たらず、畜舎には窓もあった。
余談だが、前述の女性が殺害されたといわれる幽霊旅館は解体され更地となっていた。
残念な事に入口の無いビルは今回見つけることが出来なかった。

或いはここが“本当の”「山の牧場」なのだろうか…






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