愛知県某所、一面に広がる畑地の一角に取り残されたように小さな雑木林がある。道沿いから舗装された道が雑木林の中へと続いているが、それとて雑木に埋もれすぐに行き止まりになっている。
地元の人でもない限り、この雑木林の中に民家があるとは思わないだろう。航空写真を見ると確かに2階建ての瓦屋根の民家が確認出来る。
僅かに舗装された道は玄関へと続いていたが、愛知県警のKEEP OUT(立入禁止)のテープが張られている。そのテープも風雨に曝され、黄色かったテープはすっかり日焼けし、ボロボロになって風になびいていた。
人が住まなくなってかなりの年月が経過しているこの家だが、昼夜を問わず人の気配を感じる事があるという。
家の人が手入れ、或いは片付けに来られているのかとも思うが、玄関までの道は竹や雑草で覆われ、とても人が出入りしたようには思えない。その気配の正体は、この世ならざるものがこの家にいるからだという。
聞いた話では、家の中には家財道具がそのまま残されており、仏壇も残されたままだという。
不可思議な人の気配はこの放置された仏壇のせいではないかと言う人もいる。
ここがどの様な経緯で空き家になったのかは詳らかではないが、かつてここにはAさんというご一家が住まわれていた。
2012年の画像を見ると、庭先には乗用車が停められ、トタン波板で作られた車庫には軽トラックが停まっている。家の周りには生垣も造られ、今見られるような雑木は生えておらず、近隣の家や畑地が見渡せる。2012年まではお住まいであったことが伺える。
ある年のこと、Aさんの高齢のご家族が亡くなり、その後、その息子さんがお亡くなりになった。その男性には一人息子が居たそうだが、家を出て現在は行方知れずだということだった。
男性が亡くなった頃なのか、一人息子が家を出た頃からなのか、いつしかこの家は主を失ったままとなった。
2023年の画像では、軽トラックの停まっていた車庫の屋根や壁は剥がれ骨組みがあらわになり、角材や板で塞がれている。生垣は枯れて丸太のようになり、玄関前は雑草に埋もれ、すでにこの頃には家が周囲の雑木に呑み込まれつつある様子が伺えた。
※おことわり
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