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京都府某所、小さな住宅街の入り口に荒れ果てた一軒の家がある。
お化け屋敷と呼ばれる洋館の廃墟があると聞いて訪れたそこは、白い塀に囲まれた現代的な造りの大きな家だった。 道路に面して、シャッターを備えた大きなガレージが二つ、二階建ての家には三角形の高い屋根があり、ロフトが設けられていると思われる。母屋のすぐ横には離れらしき平屋建ての建物もある。 地方とはいえ、これだけ大きな家を建てようと思うとそれ相応の費用がかかったことは想像に難くない。しかし、人が住まなくなって久しいのだろう、庭の木々は伸び放題、庭一面には雑草が生い茂り見るも無残な姿を呈している。 深夜に訪れたことも手伝って、小さな森の様になったそこは玄関門扉から遠巻きに覗き込むのでやっとだった。 心霊に対して常に懐疑的な私だが、流石に手ぶらで一人この中に入って行く勇気は持ち合わせていない。 (無論、住居侵入罪となるので勝手に入るつもりも無いが…)
「お化け屋敷」と呼ばれているこの廃墟だが、特に殺人や自殺があったとか、怪奇現象が起こるといった様な具体的な話は無いらしい。 後に分かった事だが、聞いた話では件の住宅は中国の方が住まれていたが、多額の借金を抱え夜逃げしたとのことだった。
※おことわり |