廃 寺
(二つのお寺)

住職がいなくなり荒廃したお寺
愛知県某所、新しい住宅が建ち並ぶ中、時の流れに取り残されたような一角がある。
塗装が剥げ落ち錆が浮いたトタン板に覆われた長屋門のような外観、木で出来た扉は固く閉ざされ、表札には寺院の名前が書かれている。仮にA寺と呼ぶことにする。
生い茂った草木の中には越し屋根のある平屋の建物が見える。無住寺(空き寺)、あるいは廃寺というのだろうか、住まわれなくなってかなりの年月が経っているようで、門の上には覆い被さるように木が茂り、庭には笹やススキが塀を超える程に伸びていて小さなジャングルのようになっている。
現地調査と机上調査をしたが、ある禅宗の一派(注.1)の寺院という以外は、創建の年代や由来については何も分からなかった。
夜、廃墟となったこの寺院の傍を通った時、どこからともなくお経のような物が聞こえて来た、寺院の方からひそひそと話をする声が聞こえた、側の道路で老婆の幽霊を見たといったような話がある。
お経や話し声に関しては、本当のそれらが風に乗って聞こえてきた可能性も否めず、廃墟となった寺院という先入観もあったのではとも思うが、私自身が実際にそれらを見聞きした訳ではないので安易な判断は出来ない。

奇妙な噂も然ることながら、ここを調べていて心霊以上に強い違和感を感じるいくつかの疑問が生じた。
経済産業省のサイトで確認したところ、寺院の名前で法人登録がされているが、法人番号、法人名、本店所在地以外の情報は特に記されていない。
Googleストリートビューで年代を遡って確認出来ないかを試みたところ、2012年、2015年~2018年、2022年、2024年の外観を確認することが出来た。ストリートビューを見ると、2015年までは綺麗に手入れされており、この頃までは人が住んでおられたと思われる。翌年(2016年)の画像では塀を超える程にススキや雑草が生い茂っており、2015年前後に何らかの事情で無住寺となったと思われる。

ネットで当該の地域名と寺院の名前を検索すると、12件の情報がヒットした。(2025.01.09 時点)
同じ町内に同じ名前の寺院がふたつ存在している。便宜上、前述の廃墟となったA寺と区別するため、もうひとつの寺院をB寺とする。
12件の検索結果のうちA寺が5件、B寺が7件。詳述は避けるが、両寺とも同じ禅宗の同じ宗派の寺院であった。
たまたま同じ町内に同じ名前の寺院が存在しているのか、あるいは、どちらかが支坊なのだろうか。調べてみたが、この両寺の関係についても何も分からなかった。

何か手掛かりが得られるかも知れないと思いB寺について調べてみる。これが思わぬ展開へと繋がって行く。
不思議なことにこの寺院について取り上げたサイト(ページ)には、いずれも寺院の名前、宗派、住所しか記載されておらず、それ以外の情報が全く記載されていない。いくつかある画像はすべてイメージ画像、電話番号などの連絡先も何ひとつ掲載されていない。
わずかに分かった事は、本尊は釈迦如来、住職はI氏というお名前、縁結び、縁切りにご利益があるという一文も目にしたが、詳細については不明。
そして、何より一番不可解なことは、記載されている住所に寺院らしいものが見当たらないということ。周辺は自動車販売店、リフォーム業者、ガソリンスタンド、保険代理店、バーなどが立ち並ぶ一角で、おおよそ寺院があるようには思えない。
名前と住所のみで寺院の外観を写した画像が一枚も無く、その住所には寺院らしいものが無い。
残念なことにB寺の存在を知ったのが愛知県より帰ってきた後であったため、机上での調査しかできていない。そのため、見落としや確認不足があるのかも知れないが、A寺はもとよりB寺についても不明な点が残されたままとなっている。

怪奇現象の噂のあるA寺を追い掛けていたはずが、いつしか更なる深みに嵌ってしまっていた。

引き続き調査確認をしている。進展があり次第ここで報告して行きたいと思っている。

注.1 全国に約3400の寺院を持ち、特に愛知県、岐阜県、静岡県、長野県に多くの寺院がある。

※おことわり
(1) 本記事の内容は“ミステリースポット”の紹介として掲載をしているものであり、特定の地域、人物、組織(企業、団体、機関等)、施設等の名誉棄損、誹謗中傷、揶揄等ならびに業務の妨害等を目的としたものではないことをご承知おきください。
(2) 可能な限り事実確認、検証をしておりますが、情報源は風聞によるところも多く、とりわけ「怪談」や「不思議な話」といった類の物としてお読みいただければと存じます。
(3) 一切の名称、所在地及びそれらに類する情報、及び画像等については公開できことないことをご承知おきください。



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