高屋川橋梁
(新 高屋川橋梁)

高屋川橋梁
JR山陰本線下山駅の南東600メートル程、京丹波町を流れる高屋川の急峻な谷に高屋川橋梁(新高屋川橋梁)が架かっている。すぐ傍らには明治43年(1910)に完成した煉瓦造りの旧高屋川橋梁の橋脚が聳え建ち、鉄道ファンには知られたスポットとなっている。

新聞記事などで確認が取れた訳では無いので飽く迄風聞の域を出ない話だが、2010年代後半、この鉄橋の上から女性が飛び降り自殺をするという事故があったという。女性は、橋脚(新橋梁の橋脚か、旧橋梁の橋脚かは不明)に全身を強打し、遺体の損傷は酷いものだったらしい。
その数年後にも男性の飛び降り自殺があったという。
以来、この辺りに幽霊が出るという話が聞かれるようになった。

新聞等で当時の事を調べてはみたのだが、昨今の自殺報道に対する自主規制等の関係もあるのかそれらしい記事を見付ける事は出来なかった。
令和元年(2019)12月2日、高屋川橋梁から犬釘(注.1)が落下するという事故がったが、幸い怪我をした人などはいなかった。

以下は、私と妻が高屋川橋梁を訪れた時に体験した奇妙(?)な話である。

令和4年(2022)4月末、京丹波方面に出掛けた帰りに高屋川橋梁に立ち寄る。
車を下山グリーンハイツ前バス停の近くに停め、車内に妻を残したまま一人で高屋川橋梁に写真を撮りに行った。
ひとしきり写真を撮り、車が見える所まで戻って来た頃には19時を過ぎていた。周囲はすっかりと日が暮れ、車のハザードランプだけが明滅を繰り返している。反対車線の道の広くなった所、丁度私の車の反対側に同じように軽自動車がハザードランプを出して停まっている。
月明りと街灯に照らされ、何か人影が私の車に近寄って行くのが見えた。
人の気配らしいものも無かったので、
「まさか幽霊?」
と半ば冗談の様なことを思いつつも、こんな時間にこんな場所で車に近付いて来る何者かの姿に警戒しつつ車の方に急ぐと、私の姿に気付いたその人物は一瞥して逃げるように車道を渡り反対車線へと歩いて行った。
急いで車に戻って妻に何があったか尋ねると、70代から80代くらいの男性が
「この辺りで“40歳ぐらいの男の子”が歩いているのを見かけなかった?」
と尋ねられたという。妻は窓を少しだけ開け知らないと伝えた直後に、私が戻って来たのだった。特に何かされたとかいう訳ではないが、人気のない寂しい場所での出来事でもあり、妻は怖かったと言っていた。
申し訳ない事をしたと思う…
件の男性は、反対車線に停めていた軽自動車に乗り走って行った。
車を停めたまま、あの男性は何だったんだろうと暫く妻と話をしていた。
みだりに人を疑うのは良くないのだが、本当に人を探していたのだろうかという話から始まり、「40歳ぐらいの男の子」という表現からして、件の男性は(行方が分からなくなっている男性の)父親か祖父ではないかとか、行方が分からなくなっている男性は喧嘩をして家を飛び出したのだろうか等と勝手な想像をしていた。
その間、ミニパトが下山グリーンハイツ方面に行ったり来たりをしていたので、もしかすると件の男性が探してる「40歳ぐらいの男の子」を探していたのかも知れないと思った。

その後で、妻の言った
「パトカーは、あの男の人(妻に声を掛けてきた男性)を探しているんだったりして…」
という言葉に少し背筋が寒くなった…

参考データ
路 線 名JR山陰本線
橋 長132.5m
高 さ39.0m
供用開始昭和44(1969)年7月

注.1 線路上のレールを枕木に固定する専用の釘。数種類の規格があり、長さ80ミリ~160ミリ、重量55グラム~340グラム程度。



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