和邇川河口

和邇川河口
滋賀県西部、比良山の南東麓、和邇(わに)川が比良山系から琵琶湖に注ぐ一帯を和邇と呼ぶ。遠浅の和邇浜水泳場があり、シーズンには多くの水泳客で賑わっている。

「和邇」という珍しい地名は、大和の豪族和邇氏の部民(べみん)(注.1)が設定されていたことによるとされ、天平宝字2年(758)2月24日の画工司移(正倉院文書)に「丸部」(わにべ)の存在が滋賀郡に確認されている。ただし「新撰姓氏録」右京皇別下の真野臣の項によると、「和珥部臣鳥」(わにべのおみとり)(注.2)らが近江国志賀郡真野村に住し、天智天皇の庚寅年(670)、或いは、持統天皇4年(690)に真野臣(まのおみ)を称したと伝えられることから、和邇部臣が丸部の管理にあたっていたと推定される。
和邇川の河口周辺はバスフィッシングのスポットとして知られており、釣りの人が良く来ている。
琵琶湖で亡くなった人の霊なのだろうか、夜釣りをしていて幽霊を見たという話や、駐車場で車中泊をしていて金縛りや怪奇現象(詳細不明)に遭った釣り人がいるという話をいくつか聞いた。

過去には周辺で何度か水難事故が起こっている。
平成18年(2006)8月12日には、大阪府枚方市から釣りに来ていた男性(27)が和邇川の河口付近で友人と腰まで湖に入ってバス釣りをしていたが、沖合約30メートルに流された。一緒に釣りをしていた友人が、男性の「助けて」という声を聞いた直後、男性は沈んでしまった。
翌日、滋賀県警の捜索で河口から約40メートル沖、水深約7.7メートルの琵琶湖の底に沈んでいる男性が発見された。
和邇川の河口部分が大きな三角洲となっており、河口付近の先端部分はいきなり深くなっている(落ち込んでいる)ため迂闊に湖に入っていくといきなり足を取られる可能性がある。
平成21年(2009)2月15日、和邇川近辺でエンジンがかかったままの無人ボートが発見され、近くのエリ(エリ漁に用いる漁具)にライフジャケットが引っ掛かっているのが発見された。水難事故の可能性があるとの事で、滋賀県警や関係者が捜索。
22日、ご遺体で発見されるという最悪の結果となった。
令和元年(2019)8月12日、和邇浜水泳場で福岡県那珂川市から友人と二人で泳ぎに来ていた会社員の男性(25)が溺れて亡くなっている。

(「和邇」は「和迩」と略字を使うこともある。)

注.1 大化改新以前、朝廷あるいは天皇家や豪族などに隷属し、労役の提供や生産物を貢納した人々の集団。大化改新で部民は廃止され、ほとんどが公民となった。
注.2 大矢田宿禰(おおやたのすくね、孝昭天皇の4世孫の彦国葺命の孫)の子である佐久命の9世孫。



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