深見隧道
(向洛洞、旧 深見トンネル)

深見隧道
京都市内から小浜(福井県小浜市)へと続く周山街道、その道中には栗尾峠、九鬼ヶ坂などいくつもの難所と呼ばれる場所があり、ここ深見峠も古来より難所の一つとして知られていた。
昭和21年(1946)、往来の安全と利便性の確保のため深見隧道(旧トンネル)が掘削された。しかし、幅員が狭いため車両同士の離合が困難という問題を抱えていた。半世紀以上を経た平成13年(2001)9月、新トンネル(深見トンネル)の開通により、深見隧道はその使命を終えた。
現在は京都側(京都府京都市右京区京北上弓削町)、小浜側(京都府南丹市美山町)共に坑門は閉鎖され(実際は簡易的なバリケードが設置されているだけ)、トンネル内部には盛土がされ通行は不可能となっている。
坑門を塞がず奥まった所に盛土をして通行止めにしている理由は、志戸坂隧道(旧トンネル、岡山県英田郡西粟倉村・鳥取県八頭郡智頭町)内で西粟倉村(岡山県)がシイタケ栽培実験施設として、智頭町(鳥取県)が板井原ごうこ(漬物)の生産場として活用しているように、再利用を考えての事かと思われるが定かではない。
深見隧道は別名を「向洛洞」といい、小浜側(美山町側)の扁額には「向洛洞」と刻まれている。「洛」(京都)へ向かうトンネルという人々の思いが込められているのであろう。

「京都三大心霊トンネル」(清滝トンネル、花山洞(旧東山トンネル)、老ノ坂トンネル)ほどの知名度は無いが、ここも心霊スポットとして知られている場所の一つである。
その昔、夏になると連日のようにテレビで心霊番組が放送されていた頃、ある心霊番組がここを取材した時、幽霊が映ったと話題になった。『怪奇特集!!あなたの知らない世界』でも取り上げられたという。 新トンネルが開通する以前、まだ深見隧道が現役で使われていた頃、ここでバイクの死亡事故が多発していたといい、首なしライダーの幽霊が現れていたという。

平成13年(2001)5月に起こった「京都メル友連続殺人事件」で、京都市山科区の土木作業員N.H(当時 25)が、二人目の犠牲者となった京都女子大2年生のI.Mさん(当時 19)を殺害した現場だという話がある。(遺体は京都府綾部市黒谷町の河鹿橋中央付近から伊佐津川に遺棄。)
報道等によると殺害現場は「京北町の山道」とある。京北町は平成17年(2005)4月1日に町全域が京都市右京区に編入したことで消滅。かつての京北町は現在町名に京北を冠する区域にあたる。
深見隧道の半分は京北上弓削町に位置している。

参考データ
路線名旧 国道162号線
延 長538m
幅 員4.3m
高 さ4.5m
竣 工昭和21年(1946)
廃 止平成13年(2001)



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