鉄拐山隧道
(鉄拐山トンネル)

鉄拐山トンネル
幽霊が出るか否かは私には断言できない。
しかし、この悲しい事故は事実である。

昭和59年か60年(1984~1985)頃だったと思う。
兵庫県神戸市にある鉄拐山(てっかいさん)トンネルで乗用車がタクシーと接触。乗用車はそのまま側壁に激突し炎上、乗っていた二人の男性は焼死するという事故があった。
亡くなった二人は中学時代の部活の同窓会に参加した帰りだった。
かつての顧問であった体育教師M氏を囲んでの同窓会、その場の雰囲気も手伝ってか、二人は未成年であり車で来ていながらアルコールを口にしてしまう。そして、あろうことかM氏もそれを黙認していた。
その帰り道で冒頭に書いた悲劇が起った。
事故後、まだ若かった後輩や友人らの一部からは「二人が死んだのはMが殺したようなものだ」との声もあがったが、警察の検証の結果、体育教師M氏は書類送検のみとなった。
いくら自己の責任と判断とはいえ、指導する立場の人間が未成年の飲酒、更には飲酒運転を黙認していてもいいものであろうか。

それからどれくらいの月日が経ってからだろう。
鉄拐山トンネルを通ったタクシーが、何度となく焼け爛れた男性の幽霊を見たという話を耳にするようになった。トンネル側壁から助けを求めるかのように手が伸びてくるのを見たという話もある。
また、一部のタクシーの運転手はここを通ることを非常に嫌うとも聞いた。

兵庫県道21号神戸明石線(神明道路、旧神明)の須磨寺裏から桃山台(垂水)間には3ヵ所のトンネル(東から「須磨寺隧道」、「鉄拐山隧道」、「下畑隧道」)があるが、何れのトンネルにも心霊の噂があるのは興味深いことである。

喧噪を飲み込むように大きく口を開けた鉄拐山トンネルを前にして、私の胸中には若くして亡くなった不幸な二人のことが思い出された…

参考データ
路線名兵庫県道21号 神戸明石線
延 長465.0m
幅 員9.06m / 8.0m(車道幅員)
高 さ4.5m
竣 工昭和22年(1947)

平成17年2月~3月 神戸明石線(鉄拐山トンネル)防災対策工事(発注者 神戸市役所)により、老朽化したトンネルアーチ部分をPCL工法(Precast Concrete Lining Method)にて補修。


2021/08/03 追記
鉄拐山トンネルで起こる怪奇現象については、源平の激戦場であった一ノ谷の背後に当たることから、合戦で亡くなった武者達の霊が彷徨っているといった話、殺人事件(詳細不明)の被害者の霊が成仏できずに彷徨っている、墓地を造成してこのトンネルを造った(私が調べた限りではそのような事実は確認できなかった)ため、眠りを妨げられ行き場を失った霊が彷徨っているという話がある。






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